えん罪被害を考える集会が17日夜、高知市であり、足利事件(90年)の菅家利和さん▽布川事件(67年)の桜井昌司さん、杉山卓男さん▽志布志事件(03年)の川畑幸夫さんの4人の「えん罪被害者」が出席した。
春野町(現高知市)で06年に白バイと衝突事故を起こし、県警交通機動隊員を死なせたとして、業務上過失致死の罪で服役した元スクールバス運転手、片岡晴彦さん(56)=仁淀川町=を支援する団体が主催。片岡さんは最高裁の上告棄却で禁固1年4月の判決が確定して服役し、今年2月に出所。県警による証拠ねつ造を主張し、この日の集会にも参加した。
集会はジャーナリストの大谷昭宏さんが司会を務めた。警察や検察の捜査手法について、桜井さんと杉山さんは「(アリバイを証明する証言など)無実の証拠を35年隠し続けた」などと指摘した。
「ひどさを助長させているのは何も見破れない裁判官」。大谷さんの提起で、議論は裁判所へ。桜井さんは、「推定無罪ではなく、今の裁判は推定有罪だ」と主張し、片岡さんは「罪を逃れるためうそを言っていると禁固刑を言い渡された」と語気を強めた。
取り調べの可視化は、全員が「必要」との立場で一致した。任意同行時から犯人扱いされたという菅家さんは「可視化は任意同行からするべきだ。(取り調べ時は)横に弁護士を置いてほしい」。川畑さんも「警察、検察は密室だから何でもやる。全面可視化が必要だ」と訴えた。【千脇康平】
片岡さんは18日、確定判決の取り消しを求め、高知地裁に再審請求した。会見で、片岡さんは「どうしても事実だけは明らかにしたい。生きている限り闘う」とコメントした。
請求では、1審判決に白バイとバスの位置関係の認定がなく、過失犯の構成要件の体をなしていない▽一般市民の証言・証拠を廃し、警察官の証言・証拠からのみ認定した▽証拠写真を変造し、実況検分時にブレーキ痕が存在したようにした--などと主張している。
毎日新聞 2010年10月19日 地方版