緊急地震速報:想定外の受信トラブル20件以上にも

2010年8月21日 15時0分

 07年10月の緊急地震速報開始以来、速報を受信する端末の機能面などに関連する想定外のトラブルが少なくとも20件以上起きていることが、気象庁のまとめで分かった。福岡市交通局で昨年12月、訓練用速報を本物と勘違いして地下鉄を止めるトラブルがあったことを受けて調査し、判明した。同庁地震火山部管理課は「把握できていないだけで、ほかにもトラブルが起きている可能性が高い」とし、端末の機能などを定めるガイドラインの策定に乗り出した。【飯田和樹】

 緊急地震速報には、最大予測震度5弱以上の場合にテレビやラジオ、防災行政無線などで伝えられる「警報」と、マグニチュード3・5以上または最大予測震度3以上の場合に発表される「予報」がある。同庁が今回まとめたのは、予報を巡るトラブル。

 予報の受信には専用の受信端末が必要で、デパートなどの集客施設や工場、鉄道事業者などが設置している。福岡市交通局の場合、利用していた端末が訓練報と本物を区別できない低機能だったことなどが原因だった。

 他にも▽同時間帯に栃木と沖縄で発生した2地震をうまく整理できなかった(09年8月)▽複数の地震が同時発生したとの想定で行われた訓練の際、危険度と関係なく最後の地震を報知した(09年12月)--など端末の能力に関するトラブルが発生。

 さらに▽配信事業者が撤退し、受信端末が利用できなかった(09年3月)▽配信事業者が利用者を把握しておらず、誤報を連絡できなかった(09年8月)--など、予報を配信する配信事業者(主に企業)に関するトラブルもあった。

 同管理課は「端末の機能などについて何も定めていないことが原因」として、端末の機能や配信事業者の能力などを定めるガイドラインを策定する方針で、有識者による検討会を開いている。検討会では「端末のレベル表示を義務化するなど、ガイドラインに一定の効力を持たせないと意味がない」との指摘が出ている。

 ◇ことば・緊急地震速報

 地震の初めに小刻みに揺れる初期微動(P波)と、実際に被害をもたらす強い揺れである主要動(S波)の到達に時間差があることを利用し、主要動の到達前に警告を発することを目的としたシステム。震源地や地震の規模を分析し、大きな揺れが来る数秒から数十秒前に地震発生を知らせる。ただし、直下型など震源が近い場合は初期微動と主要動の時間差が小さいため、情報が間に合わないことがある。

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