落ち目とはいえ、テレビ局なんて序列最上位クラスで、辞退される方じゃなくてさせる側である。内定者の票読みなんてしなくて良いから楽チンだろう。
そういう上流階級のお公家様が、
「いやあホント外食ってひどいですねえ」
としか伝えないのは、ちょっと洞察が浅すぎると思う。
では、彼らは何を伝えるべきか。それは、上記の構造的な問題だ。雇用契約解除はもちろん、内定取り消しすら認められない硬直した社会で、すべてのリスクが立場の弱い企業と学生に集中しているという現実だ。
仮に内定取り消しを本気で禁じるのなら、内定辞退も禁じるべきだろう。でもそれはちょっと現実的ではない。よって、いくらかの補償金で合法的に雇用契約を解除できるルールを明文化すべきだ。
今の日本の雇用法制を一言でいえば、「ミスの許されないパーフェクトな世界」だ。だから、企業は採用する正社員を絞り込む。学生もできるだけ定年まで潰れなそうな大手を選ぶ。そして、経済はさらに停滞することになる。
今回のような騒動は、それでもミスが完全にはなくせないことを示している。
城 繁幸
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