医師の確保や病院間の医師数の適正化を目指し、県は18日、新たな組織「ふじのくに地域医療支援センター」を設けた。病院ごとだった医師の研修や勧誘、医学生への奨学金支給などの業務を一括して担う。県内では、医師数は増えているのに病院間の医師の充足数は格差が広がっており、センターはこうした課題の是正にあたる。
県内の公的病院45施設を対象に行った県の調査では、医師数は09年4月は2618人だったが、10年4月は2688人と、増える傾向にあることが分かった。しかし、病院ごとの医師の必要数に対する不足数を尋ねたところ、09年4月は524人だったのが、10年4月は617人に拡大しており、病院ごとの医師数のばらつきが目立った。
センターが取り組む問題の一つは、研修医の受け入れ体制の見直し。研修医の受け皿は指導医がそろう大規模な病院が中心になっている。中小の病院に医師が集まりにくい原因になっており、センターがコーディネーター役を務め、複数の病院が連携して研修医を受け入れる体制を作る。
医師のリクルート活動にあたって県は既に県内の高校生を対象に医学部への進学を目指してもらうプログラムを始めている。今後は民間企業が研修医を対象に行うリクルートセミナーにも積極的に参加する。
センターの理事長に就任した寺尾俊彦・浜松医科大名誉教授(74)は「医師が静岡県で働きたいと思うような研修プログラムや環境整備を行いたい」と話した。寺尾理事長のほか、5人の医療関係者が理事に就き、新たな医師確保策を考える。各地域から提案があった取り組みについても検討を行う。【小玉沙織】
毎日新聞 2010年10月19日 地方版