【社説】6カ国協議に対する疑問の声を一掃せよ
中国外務省は先週末、武大偉・韓半島(朝鮮半島)問題特別代表と北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官との会談で、2005年9月の6カ国協議で採択された「9・19共同声明」の全面的な履行に合意したことを発表した。9・19共同声明には、北朝鮮が寧辺核施設を含む核開発計画の凍結・破棄に向けた段階的な手続きを実行に移せば、韓国、米国、中国などがそれに合わせて北朝鮮への支援を行うとの内容が明記されている。1993年の第1次核危機は、翌94年の米朝ジュネーブ合意でいったん決着がつき、02年末からの第2次核危機は、9・19共同声明により一段落した。
中国と北朝鮮は今年7月から韓国と米国に対し、6カ国協議の早期再開を何度も提案している。これに対して韓米両国は、「北朝鮮が寧辺の核施設を凍結し、国際原子力機関(IAEA)による査察や措置を受け入れるなど、非核化に向けた意志を行動で示さなければならない」との立場を明確にしている。
韓国の哨戒艦「天安」を沈没させたことにより、北朝鮮が外交面でさらに孤立している状況の中で中朝両国は、「6カ国協議再開」を持ち出してきた。また韓米両国でも、「天安局面に決着をつけ、6カ国協議に向けてかじを切るべきだ」という主張が出始めている。しかし、大韓民国の将兵46人の命が奪われた天安問題を置き去りにして、6カ国協議に向けて早々に動き出すのは、どう考えても納得がいかない。
韓米両国は、6カ国協議再開のめどが立たなかった08年末から2年にわたり、北朝鮮がプルトニウム方式による核開発だけでなく、濃縮ウランを原料とする核兵器の開発も進め、今ではほぼ完成段階に至ったとみている。北朝鮮にどれだけ圧力を加えても、中国が北朝鮮を延命させる最低限の支援を行っている限り、北朝鮮に対する圧力の効果は現れにくい。このようなジレンマ故に、11月2日に米国の中間選挙が終われば、いかなる形であれ、北朝鮮との核交渉を再開すべきという声が、韓米両国から出始めている。
6カ国協議を通じて核問題の実質的な解決を引き出すために、韓米両国は今の構図を何としても改めなければならない。現在の6カ国協議での力学関係は、北朝鮮を除く5カ国(韓国、米国、中国、日本、ロシア)が北朝鮮を説得し、圧力を加えるという当初の構図から、韓米日3カ国が中朝と対峙(たいじ)し、ロシアが中間的な立場に立つという様相に変わっている。これまで北朝鮮は核兵器や軍事力による挑発で窮地に追い込まれると、核放棄の意志の有無にかかわらず、6カ国協議を利用して孤立から抜け出そうとするやり方を何度も繰り返してきた。そのため、6カ国協議の効果に対する根本的な疑いの目が、徐々に大きくなっているのだ。
以前のように北朝鮮が核関連の合意を破棄し、会談の最中に挑発行為を行った場合、それに応じた責任を6カ国協議の枠内で追及する新たな仕組みを、まずは作り上げなければならない。韓国と米国は6カ国協議再開の前に、中国に対してこの問題に関して明確な態度を示すよう、求めなければならない。