「大阪女子」(17日、大阪世界館)
地域に密着した活動を目指す「OSAKA女子プロレス(大女)」が17日、年内最終興行となる第3戦を大阪・弁天町の世界館で行った。メーンでは大女唯一の所属選手・下野佐和子がタッグマッチに出場し、171人(超満員)のファンの前で、自団体での初白星をゲットした。
大きな大きな白星だ。下野は華名&弁天娘。組の関節技や強烈なキックを耐え抜くと、持ち前のパワーを生かしたバックフリップやジャンピングニーで反撃。パートナー・勇気彩と協力して敵軍を分断し、電光石火の丸め込みで弁天から3カウントを奪取した。下野は拳を突き上げ「ウオー!」と絶叫。「大女のリングで、世界館で勝ちたかった。格別です」。瞳からは、自然と熱い涙がこぼれた。
3・21大女旗揚げ戦のメーンでデビューした下野は、新人ながら高い素質を認められ、他団体からオファーが殺到。次第に勝ち星も増やしていったが、夏ごろには初のスランプを味わった。思うように体が動かず、結果も出ない。「どうしてもできない自分がイヤで」。それでも腐ることなく、がむしゃらに試合と練習に打ち込むことで克服した根性娘だ。厳しい指導で知られる師匠のGAMIも「自分(下野)、すごいね。今年いちばん伸びた新人やと思うわ」と、最大級の賛辞を送った。
これまで大女の興行は不定期開催だったが、来年からは2カ月に1度の定期開催になることが発表された。喜ぶべき進展だが、女子プロレス冬の時代と言われる中での決断、リスクも大きい。「(大女は)今はプロレス界の中で一番小さな団体かもしれない」と下野は不安を吐露しつつも前を向く。「もっと多くの人に大女の名前を知ってほしい。どんな人でも足を運べる会場にしたいです」。すい星のごとく現れた期待のルーキーは、次なる戦いへ強く拳を握っていた。