「J1、横浜M1-0神戸」(17日、日産ス)
左ひざ外側半月板損傷で戦線離脱していた神戸のFW大久保嘉人(28)が、約2カ月ぶりの先発復帰となった横浜M戦の後半39分、まさかの一発退場となった。残留争いを続けるチームもアウェーで0‐1の完敗。頼みのエースは次節は出場停止となり、和田神戸にとっては黒星以上に痛い試合となった。首位の名古屋は新潟に1‐4で敗れ、7試合ぶりの黒星を喫した。2位の鹿島、3位のG大阪とは勝ち点8差となった。
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待ち焦がれた舞台は思わぬ形で幕を閉じた。8月14日の湘南戦以来となる先発のピッチで、神戸FW大久保が突然の一発退場。目の前に突き出されたレッドカードに背番号13は言葉を失った。「足は当たったけど故意じゃない。あれが故意ならみんな退場になる」。無念の表情で唇をかんだ。
ピッチ中央付近で横浜MのFW小野とボールを追いかけ、右から左に並走した後半39分だ。進行方向を切り返した瞬間、後方の小野が転倒し足を押さえて絶叫した。「よけた左足が当たったのかもしれない」。あくまで一連のプレーの流れであることを強調した。
大黒柱を失ったチームに形勢逆転の力はなく、単調な攻めを繰り返すだけ。試合終了後には大久保、神戸の叶屋宏一社長、岡村新太郎マッチコミッショナーの三者による事情聴取が約1時間にわたり行われた。
部屋から出てきた大久保は「自分のその時の行動を伝えただけ。あとはクラブの人に任せます」と淡々。それでも、歴代3位のJ1通算退場10回という“不名誉”な記録を持つ28歳は「今までのは納得できたけど、こんな退場は初めて。(反則が多い)イメージは絶対ある。それで見られると困る」と、審判への苦言も漏らした。
一発退場の場合、最低でも1試合の出場停止が科される。J1残留を託した“救世主”の復帰即出場停止に、叶屋社長は「もちろん納得してない。審判委員会に質問状を出す」と、18日にもクラブとして正式に抗議する考えを示した。
日本代表のザッケローニ監督が初視察する中、3本のシュートを放って復調をアピールしたエースだが「何も意識してない。チームがこういう状況だし、それどころじゃない」とキッパリ。痛恨のレッドが、窮地の神戸に追い打ちをかけた。