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伊達力尽く…史上初40歳代Vならず

 シングルス決勝でタマリネ・タナスガーンに敗れたクルム伊達公子
 シングルス決勝でタマリネ・タナスガーンに敗れたクルム伊達公子

 「テニス、HPジャパン女子OP最終日」(17日、大阪市靭テニスセンター)

 シングルス決勝が行われ今季初めて決勝に駒を進めたクルム伊達公子(40)=エステティックTBC=は、タマリネ・タナスガーン(33)=タイ=にフルセットの末敗れ自身のツアー9勝目、史上初となる40代での史上最年長優勝はならなかった。

  ◇  ◇

 最後は完全に逆を突かれ、ボールを見送った。史上初、そしてツアー最年長となる40歳での優勝を狙った伊達だったが、連日の3時間近くの激戦に最後は力尽きた。それでも少しだけうつむくと、笑顔で勝者と握手。「この準優勝はこれからチャレンジを続ける上で力にはなる」。秋のやわらかな日差しには、充実の笑顔が照らし出された。

 驚異的な粘りだった。第1セットを5‐7で落とすと、第2セットも4ゲーム目をブレークされ、1‐3。窮地に立った。しかし、そこから全盛期をほうふつとさせるストロークで盛り返し、3ゲームを連取。「Come on!」の雄叫びと、ガッツポーズを連発し、タイブレークの末、第2セットを奪い返した。

 しかし、肉体はもう限界だった。連日の激戦で痛めた右ひざに加え、第3セットには左足親指に血まめができた。タイムアウト後、ここぞとばかりに前に出てきた相手に対応できず、一気に流れを持っていかれた。

 ただ、過酷なアジア4連戦で今後への大きな可能性を示した。東レ・パンパシでは元世界1位のシャラポワら、そして今大会では現ランク8位のストーサー、同13位のピアーと次々に上位ランカーを撃破。万全な状態なら、まだまだ一線級とも戦える力を示した。

 今後の目標については「(40代の優勝は)最初で最後のチャンスだったかも。年齢、ブランクがある中で、20代のような明確な目標を持ってやっていくのは難しいし。正直、どこに向かっているのか自分でもよく分からない」と、苦笑いしながら話した。まだ惑いのある40歳。それでも「当然負ければ悔しいし、負けたいと思うこともゼロ」。衰えぬ闘志がある限り、偉業へのチャンスはきっとまた巡ってくる。

(2010年10月17日)






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