◇クライマックスシリーズ セ・ファーストS<第2戦>
◆巨人7−6阪神
2年前の悪夢がよみがえった。絶対的信頼を集める藤川球が力尽き、阪神の2010年の戦いが幕を下ろした。
負ければ中日への挑戦権も、その先の日本一の夢も吹き飛ぶ1戦は終始、先手を取って進めた。だが7回に平野がこの日2つ目の失策を犯し、久保田が高橋に2ランを浴びると、様相が一変する。トラの子の1点を守るべくベンチは8回から藤川球を投入。逃げ切りを図ったが、実らない。
自慢の速球はコントロールが定まらず、フォークを多投。脇谷を投ゴロに、続く坂本もフォークで三振に仕留めた。ところが亀井に四球を与えると、小笠原に初球を痛打され二、三塁。ラミレスにはここまで23球中、12球を投げていたフォークを中前にはじき返された。痛恨の逆転劇に甲子園は悲鳴に包まれた。
「自分の中ではやれることをやったから悔いは残ってない。普通に投げたんだけどね。腹をくくってやってるから悔いはないし、仕方ない。自分の力はそんなもんやね」
2年前のCS、中日との第1ステージ(京セラドーム大阪)の第3戦目。9回、ウッズに特大の一打を浴びて敗れ去った。この時、退任を決めていた岡田監督(現オリックス監督)から「おまえで終われてよかった」と声をかけられ、男泣き。しかし今回は落ち込むこともなく、さばさばした表情で振り返った。
今季は9月30日の横浜戦で村田に逆転の3ランを浴び、チームは自力優勝が消滅。そのショックを引きずり翌10月1日の広島戦では、未勝利だったソリアーノに完封されV逸が確定した。藤川球に代表されるように大一番で力を出し切れなかった1年について、真弓監督は「短期決戦、ここ一番での弱さを払拭(ふっしょく)できなかった。来年に向けてのいい課題になった」と、勝負弱さを認めるしかなかった。 (中山隆志)
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