「パ・リーグCSファイナルS・第4戦、ソフトバンク2-4ロッテ」(17日、ヤフド)
王手をかけられていたロッテが4‐2で勝ち、対戦成績を2勝3敗(ソフトバンクのアドバンテージ1勝を含む)とした。ロッテは二回、今岡誠内野手(36)が阪神時代の08年9月以来となる本塁打で先制。今岡は六回に6年ぶりの送りバントも決めるなど、勝利に貢献した。18日に第5戦が行われ、ソフトバンクは勝つか引き分けで、7年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。
◇ ◇
誠の救世主が、がけっぷちに立たされた西村ロッテを奮い起こした。二回1死、今岡が、08年9月29日の広島戦(甲子園)以来748日ぶりとなるアーチで先制パンチ。明日なき戦いで、百戦錬磨の男が執念をみなぎらせた。
ファイナルS第1戦に続き、勝利への口火を切ったのは今岡だった。直球が5球続いた直後のスライダーを、絶好のタイミングでとらえた。
「負けたら終わりですから。とにかく勝ちたいという気持ちで打席に入った。ホームランより先制点がうれしい」。負ければ終戦を迎える土壇場で、まざまざと見せつけた勝負強さ。移籍後初本塁打を祝う左翼席からの「今岡コール」に、照れながら応えてみせた背番号2に、西村監督も「あれで盛り上がりました。さすがです」とうなずいた。
値千金のアーチは、指2本分ほど短く握ったバットから放たれた。今季5月下旬から約4カ月に及んだ2軍暮らしの中で、1打席で結果が求められる代打稼業を重ねているうちに「今の自分は大きいのを狙う必要もない」と、手探りでたどり着いたスタイルだった。がむしゃらにチーム打撃に徹した、その延長線上の末に生まれた一発だった。
それだけではない。六回には無死二塁から、実に04年以来6年ぶりの犠牲バントを決めた。「今江が塁に出た時点で、イメージは出来ていた」。一塁側に転がす絶妙なバントで二塁走者・今江を送り、貴重な3点目をアシスト。大技小技を織り交ぜる仕事人ぶりが光った。
完全復活した36歳。土俵際のチームに再び息を吹き込んだ今岡が、今度は逆王手へ導いてみせる。