「セ・リーグCSファーストS・第2戦、阪神6-7巨人」(17日、甲子園)
静まりかえる敵地に、Gナインの雄たけびが響き渡った。八回、ラミレスの逆転打に、巨人ベンチはお祭り騒ぎ。興奮した原監督の表情は紅潮し、選手は次々にベンチ前へ飛び出す。選手全員でド派手なガッツポーズ。猛虎の息の根を止め、CSファイナルS進出を決定づけた瞬間だった。
4点差をひっくり返した逆転劇。口火を切ったのは高橋の一撃だ。七回、1点を返し、なお2死一塁。久保田のスライダーを右翼席へ運んだ。1点差に迫り「由伸の2ランが効いた。あの辺から流れが変わり、(阪神にとって)嫌な雰囲気になった」と原監督。流れは巨人に傾いた。
こうなれば、一気の押せ押せムード。八回、藤川に襲いかかった。2死走者なしから亀井がしぶとく四球を選ぶと、小笠原はストライクを取りに来た初球の真っすぐを見逃さない。右翼線への二塁打で2死二、三塁。おぜん立ては整った。
続くラミレスは「本塁打はいらない。なんとかヒットで走者をかえそう」と心がけたという。カウント2‐1からのフォークに食らいつき、打球を中前に転がした。「あそこはかえらないと、怒られちゃう」と二走の小笠原。鬼の形相で激走し、本塁に滑り込んだ。
勝負は紙一重。その差を分けたのは、目に見えない精神力の差だった。大逆転劇を演出したのは35歳の高橋、36歳のラミレス、今年37歳になる小笠原。短期決戦での勝ち方を知る、経験豊富な“アラフォートリオ”で、8安打6打点をたたき出した。
虎を倒し、落合竜への挑戦権を獲得した。高橋が「次も同じ気持ちでいきたい」と言えば、ラミレスも「この流れを名古屋に持っていきたい」と気勢を上げた。勢いをつかんだ原巨人に、恐れるものはない。