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きょうのコラム「時鐘」 2010年10月19日
今回の中国の反日デモで「打倒小泉」を叫ぶ若者がいたと本紙外電にあった。靖国問題で日中関係が悪化した小泉元首相時代のことを指す
尖閣諸島への認識はその程度なのだ。一方で「大半の若者は反日よりも、面白がって興奮したデモ隊を追いかけている」とも伝えている。ここは付和雷同を笑うより、群衆心理の危険性を見ておく場面だろう 中国では「80後」と呼ばれる世代が存在する。80年代に始まる反日教育が浸透した若者である。天安門事件を体験した共産党政権が、国民の目を「外の敵」に向かわせたのが反日教育の強化だったと言われる 以後、中国国内で大規模な反政府抗議デモは起きていない。外国に対する抗議デモはおきても、ノーベル賞作家の釈放を求める人権要求デモは起きないようになったのである。「愛国教育」の恐ろしいばかりの効果である デモの背景に、ネット社会があるというのも、簡単には納得できない。ネットだけでデモが同時多発するだろうか。いかにも今風の解説よりも「打倒小泉」のような現場のちぐはぐぶりから、愛国デモのうさんくささが見えるのである。 |