依然反日横断幕「何に抗議しているのか分からないほど狂っていた」

「祖国の貴重な領土を守れ、日本人は釣魚島から出ていけ」とのスローガンが掲げられた綿陽市内の陸橋 Photo By 共同

　「祖国の貴重な領土を守れ　日本人は釣魚島（尖閣諸島）から出ていけ」。大規模な反日デモが起きた中国四川省綿陽市では一夜明けた１８日になっても、陸橋に横断幕が掲げられ、デモ隊の襲撃を受けた日本料理店のガラスには投石によるとみられる穴が痛々しく開いたままになっていた。

　同市中心部の商業ビルに入った日本料理のチェーン店。ガラス張りの現代的なつくりだが、道路に面したガラスには投石によるとみられる穴。電気のついていない店内を心配そうに眺めていた女性は「いつ営業再開するのかしら」と話した。

　「何に抗議しているのかも全く分からないほど狂っていた」。１７日午後７時ごろ、同市の綿興西路で、興奮した若者らが日本車を壊した様子を見ていた男性は「彼らはスローガンなんてどうでもいい感じ。興奮していた。（デモ隊に）近づくのも怖かった」と振り返った。

　男性によると、実際に車を壊していたのは数十人。大半が興奮した若者で、後ろから面白がってついてきた近くの住民が集まっていた。近所の女性は「家にいたら、知人から面白いから見に来いと電話があった」。

　当初のデモは比較的秩序だっていたが、その後市内の数カ所で暴れ、車を壊し始めた。地元の運転手は同じように市内の数カ所でデモ隊が暴徒化したと打ち明けたが、壊された車はほとんど撤去されている。

　１８日は朝から武装警察部隊を乗せたトラックが連なり市内を巡回。警察のバイクやパトカーも大通りを行き交う。日本車販売店でもそれぞれ数十人の警官が警備に当たった。公安当局の宣伝カーは「扇動行為を慎みなさい」とスピーカーで流しながら走っている。

　綿陽市内では１７日夜から多くのホテルが日本人の宿泊を断っている。ホテルの従業員は「安全が確保できない。理解してほしい」と訴えていた。 （共同）

[ 2010年10月18日 10:40 ]