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天然ものに根強い人気…毒キノコの誤認販売相次ぐ

「産直市場グリーンファーム」で天然キノコを買い求める客
「産直市場グリーンファーム」で天然キノコを買い求める客
Photo By スポニチ

 実りの秋が到来。キノコのおいしい季節となり、山で採れた天然ものに人気が集まっているが、毒キノコを食用と誤って販売するなどの事例が全国で相次いでいる。厚生労働省は確実に食用と判断できないものの採取や販売を控えるよう各都道府県に通達。しかし、天然もの人気は依然根強く、対応はまちまちだ。

 全国有数のキノコ産地の長野県。伊那市の「産直市場グリーンファーム」の駐車場には、ウイークデーにもかかわらず他県ナンバーの車がずらりと並ぶ。新潟市の60代の男性客は「歯応えがいいし味も格別」、静岡県浜松市の50代の女性客も「栽培ものに比べて風味がいい」と“天然もの”を購入した。

 天然キノコを販売しているのは、主に各地の直売所や「道の駅」、一部スーパー。店が採取者から買い取って販売したり、採取者が陳列棚などに直接置き、店に販売を委託したりしている。販売許可制度などはなく、長野県内のある保健所の担当者は「行政がすべての販売場所や状況を把握することは難しく、毒キノコかどうかの鑑定は現場任せが実情」と話す。

 2日に東京都墨田区のイベント会場で、最悪の場合は死に至る「ニガクリタケ」を販売した長野県阿南町の食品販売会社「蔵」は、地元の女性が天然ものを持ち込んだ日にキノコに詳しい金田三千男社長(71)が不在で、社員が代わって鑑定。また、5日に「ニガクリタケ」を販売した長野県駒ケ根市のスーパー「マルトシ駅前店」などでは、採取者が持ち込んだものをそのまま店頭に出していた。

 「蔵」では現在、天然キノコは鑑定が容易な5種類に限り、金田社長が安全と認めたものに「鑑定済シール」を張って販売。「マルトシ駅前店」などではマツタケ以外の天然ものの扱いをやめた。しかし、天然人気は根強く、対応はまちまちだ。

 1年間でキノコの食中毒が急増するのは9、10月。厚労省によると、9月以降今月15日までに毒キノコを誤って販売したり食べたりしたケースが26件あり、計66人が食中毒の症状を訴え、入院した人もいる。同省担当者は「食中毒件数自体は例年に比べて多いとはいえないが、今年は販売するケースが目立っている」と説明。原因の毒キノコはニガクリタケ、クサウラベニタケが8割を占めるとされる。同省はホームページで見分け方を掲載している。

 しかし、天然キノコを鑑定する「きのこ相談」を実施している茨城県きのこ博士館(同県那珂市)では「言葉で説明するのは難しい」と指摘。1本1本色や形は違い、毒キノコの特徴に当てはまらなくても、結果として毒キノコの可能性もあるからだ。最終的に、顕微鏡で分析しないと分からない場合もある。「色が地味なら安全」などの俗説も要注意だという。また、同じ場所に生えていても毒キノコが混入している可能性もあり、同館では「1本ではなく、採れたものすべてを持ってきて鑑定してもらって」と呼びかけた。

 今年、誤認販売が続出している理由については「9月に猛暑や雨の影響でキノコが例年より生えず、10月になって一斉に出てきた。一度に同じ場所に大量に生えてきたので、見分けづらいものも一緒に採ってしまう傾向にあるのではないか」とみている。

 ≪不慣れな人多く≫天然キノコの鑑定を請け負っている長野県林業総合センターによると、山林で採ったキノコの持ち込みはこの秋、不作だった昨年の10倍。手当たり次第に採ってくる「不慣れな人が多いのが特徴」という。長野県では保健所ごとに鑑定のプロである「きのこ衛生指導員」を配置。30年以上も指導員を務めている千曲市の石井芳昭さん(65)は「例年1日2、3人が鑑定依頼に来るけど、今年は7、8人。見つけたキノコをすべて持ってくる人もいる」と話した。

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