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骨粗しょう症 あご骨で予測可能に

(2010年10月17日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

大阪歯科大 低コスト、高精度化

画像あごの骨密度を解析するパソコンソフトを操作し、新検査法を説明する高石佳知講師=兵庫県姫路市で

 あごの骨のレントゲン写真から測定した骨密度を基に、高い確率で全身の骨粗しょう症を発見・予測することに、大阪歯科大の高石佳知講師らの研究グループが成功。21日から大阪市で開かれる日本骨粗鬆(しょう)症学会で発表する。

 新たな検査法は、従来の精密検査を大幅に簡易化。一般の歯科にあるレントゲンを使い、1回5分以下、数百円の費用でできる。早期発見・治療に活用が期待される。

 骨粗しょう症の患者は、骨折などで症状を自覚した後に受診する例が多い上、症状の表れやすい腰椎(ようつい)を調べる精密検査は実施機関が限られ、予防診断は広まっていなかった。

 研究グループは、患者のあごの骨密度が腰椎より先に低下することを発見。50〜69歳の女性34人の下あごの小臼歯と歯槽骨をレントゲン撮影し、パソコンの専用ソフトで骨密度を算出すると、精密検査と同等以上の精度で発症を予測できた。既にソフトと検査法で特許を取得、一般歯科での普及を目指す。

 厚生労働省などによると、国内の骨粗しょう症患者は高齢女性を中心に年々増加。自覚症状のない未受診者を含めると推計で1千万人を超え、骨折による寝たきり患者の介護、医療費の負担増も問題となっている。

 高石講師は「骨折して気付くのでは遅い。新たな検査法がチェック機能を果たし、受診率が向上すれば患者と医療費は減らせる」と話している。