県外の安保優先報道批判 「普天間」シンポ

沖縄の視点とズレ

2010年10月18日 09時21分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(16時間16分前に更新)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を日米両政府が合意した際のメディア報道の視点のずれを問うシンポジウム「普天間報道 なぜ違う〈沖縄〉と〈東京〉―現場記者徹底討論―」(主催・マスコミ労協)が17日、那覇市内で開かれた。同飛行場の危険性や在日米軍の兵力構成を検証するよりも政局と日米安保を優先する多くの全国メディア報道や安易な取材姿勢に対する批判もあった。

 琉球朝日放送の三上智恵キャスターは「沖縄戦で、米軍が強制的に土地を取り上げたことが問題の原点。情報番組を含め数日の取材で、基地が産業としてもともと存在し、辺野古の人や県民が基地を歓迎しているかのような断片的報道は我慢できない」と訴えた。

 東京で首相官邸や防衛省の取材を経験した沖縄タイムスの吉田央(なか)記者は「全国紙では政局報道が優先され記者の関心もそこにあり、普天間の抑止力などは議論されていない」と指摘。琉球新報の宮城久緒記者は鳩山由紀夫前首相が移設先を模索していた時期に「全国紙記者が『日米同盟を傷つける余計なことをした』との見方で質問したのに驚いた」と報告した。

 米国取材経験の長い金平茂紀TBSキャスターは「辺野古の問題が解決しないと日米関係が崩壊するという報道はおかしい。米国政府内にも海兵隊は必要ないという意見もあるのに、ほとんど取材されない」と取材先の偏向を批判した。

 ジャーナリストの岡留安則さんは「沖縄に関心のない記者が増え、首相官邸や防衛官僚らと同じ目線で、記事は官僚寄りになっている。評論家を含め日米安保最優先の『安保マフィア』がいる。地元メディアは米国で独自の取材をする必要がある」と提言した。

 大野圭一郎共同通信那覇支局長、松川敦志朝日新聞那覇総局記者もパネリストを務めた。県内外のメディア関係者や市民ら約200人が議論に聞き入った。

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