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ジグザグかがわ:アフガン知って 現状伝え、全国で「お話会」 /香川

 ◇高松のフリーカメラマン・前田さん

 ◇裸足の避難民、銃痕だらけの廃屋…

 自爆テロや米軍など外国部隊による誤爆が相次ぎ、民間人が犠牲になっているアフガニスタン。現状を知ってもらおうと高松市在住のフリーカメラマン、前田真吹(しぶき)さん(37)が、現地で撮った写真や映像などを使った「お話会」を全国で開いている。08年から始め、約30カ所を回った。「私たちに関係のない遠い所の話なのか。どうしたら現状を変えられるのか」。先月の多度津町の会では、そう問いかけた。【三上健太郎】

 前田さんはこれまでに3回、アフガニスタンを訪問。最初は03年、知人の映画撮影に同行した。

 「飛行機を降りてまず目に入ったのはこの光景」。スクリーンに映し出されたのは、撃墜された戦闘機だった。「一歩町に入ると廃虚。壁も銃弾の跡ばかり。どれだけの戦闘が行われたのか」。会場から驚きの声が上がった。

 最初に出会ったのは、避難民テントで暮らす子どもたち。「腕をつかもうとしたらあっという間に離してしまった。人間の骨とは言えない、木ぎれのようだった」と衝撃を伝える。見渡す限りのテント、ボロボロの服をまとった裸足の人たち。「こんな国に最新鋭のミサイルを持った国が空爆をしたのか」

 帰国後、クッキーを焼き駅などで売った。100万円を集めて04年に再訪。枯れ井戸2基を修復した。その後、治安は悪化し、06年はほとんど出歩けなかった。井戸は既に枯れてしまった。それでも「今行っても迷惑をかける。現地の人を巻き込んでしまうだけだ」と渡航を自粛している。

 「何で友達に会いにいけないのか、何で友達が今生きているかもわからないのかという悲しみから関心を持ち始めた」。どうしたら罪のない人たちが戦争で亡くなるのを防げるのか。前田さんは訴える。「現実を知ることが大事。この現実をどうしたいのか、自分に何ができるか考え、できることを続けたい」

 この日の会場でも販売したクッキーの収益金を同国で活動するNGO「ペシャワール会」に寄付。また、前田さんは「魔法の9(ナイン)」(仮題)という映画を製作中だ。アフガニスタンに行けずに苦悩していたころ、高松空襲の語り部に出会い、空爆で逃げまどったアフガニスタンの子どもたちと同じ思いをした人たちが身近にいたことに気づいた。

 日本では今年5月に憲法改正のための国民投票法が施行された。「戦争を知らない時代では、戦争が生む悲惨さを想像できない。9条がなかった時代を知らないのに正しい判断をできるのか」と疑問を感じ、戦争体験者を訪ね歩いている。詳しくは映画のブログ(http://mahou9.blogspot.com)。

毎日新聞 2010年10月16日 地方版

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