昨年秋に私は「大阪と世界の大都市を比較する」目的で世界14カ国18都市を見てきました。
訪れた国と都市は以下の通り。
香港(中国)、マカオ(中国)、シンガポール、ドバイ(アラブ首長国)、カイロ(エジプト)、イスタンブール(トルコ)、バルセロナ(スペイン)、パリ(フランス)、ウィーン(オーストリア)、ローマ(イタリア)、フィレンツェ(イタリア)、ヴァチカン、ミュンヘン(ドイツ)、ロンドン(イギリス)、チューリッヒ(スイス)、ニューヨーク(アメリカ)、ロサンゼルス(アメリカ)、ホノルル(アメリカ)
1ヶ月という短い期間での弾丸視察でしたが、これらの都市を見て感じたのは
日本は全然負けてない!! ということ。
例えば首都・東京の都市機能はニューヨーク、パリ、ロンドンにも引けを取らず、交通インフラと治安、衛生面に関しては日本は世界一といっても過言ではありません。新しい技術を取り入れた「未来都市」としての観点では大阪や他の地方都市でさえ諸外国の都市を大きく引き離すほどのレベルだと思います。さらに「未来」だけでなく長い歴史の上に構築された独特の文化も多く多種多様な観光資源が存在します。日本に来たことが無い外国人がそれらを目にすればきっと「クール」で「ファンタスティック」な経験になることでしょう。
しかし現実は・・・
外国人観光客の訪問国別ランキングを見ると、1位のフランスが8190万人、以下スペイン5920万人、アメリカ5600万人、中国5470万人と続きます。対して日本はわずか835万人でフランスの1/10に過ぎません。(2007年)
いま日本は、国も地方も閉塞感に溢れ、希望の光が見えにくい状況です。
日本は住民のほとんどが日本人の国ですから「新しい風」は起きにくい。
そんな「新しい風」の役割を果たすのが外国人観光客の誘致だと思うのです。
多くの外国人観光客が訪れることで、日本にお金が入り、お金の流れが生まれます。現在日本のGDPに占める外国人旅行者の貢献度は2%弱ということですが、これがフランス並みの8%になれば30兆円以上の押し上げ効果になります。
外国人観光客が落としてくれるお金こそ、最大の埋蔵金 と言えるのではないでしょうか。
では外国人観光客を呼び込むにはどうしたらいいか。
まず、現状ではおそらく外国人観光客にとって日本は「難易度の高い観光地」なんだと思います。欧米はキリスト教文化なのである程度雰囲気は似通っていますが日本は独特でイメージがつかみにくい。(あってもハラキリとかカミカゼ、ゲイシャとか・・・)。日本に来ている外国人観光客は普遍的な観光というよりは、「不思議なもの」を見に来ているような気がします。私達がサハラ砂漠やアマゾンの密林に訪れるようなものでしょうか。これを克服するにはイメージを覆し、「普通の外国人観光客が来ても楽しめる日本」を国家レベルのトップセールスでアピールする必要があると考えます。
次に観光資源を「線」にすること。新しく観光資源を作る前に、今あるものを有効活用することが大切です。例えば堺には仁徳天皇陵があって、中世に日本一栄えた歴史があって、刃物や和菓子やお茶などの文化があって、大阪唯一の路面電車があってと色々見所はあるのですがそれらは「点」に過ぎず、堺だけで1日観光して過ごそうとはなかなか思ってもらえません。これらの観光資源となる要素をまとめて「線」にしてアピールすることで「堺に行こう」という目的を持ってもらえるのではないでしょうか。それを大阪、関西という単位でも考えていく。このことは外国人観光客の集客だけではなく国内向けにも当てはまります。
3つ目は難しいのですが一番大切かもしれないこと、「英語が使える環境にする」。日本人は学校教育で英語を勉強しているはずなのに日常会話も満足にできない人が多いという現状です(私も含めて)。得体の知れない文化のところに行くのに、英語も使えないとなると更に訪れるハードルが上がってしまいます。私が訪れた世界の18都市はいずれも普通に英語が使えました。ドバイやエジプトといったイスラム国でも(観光地では)現地の言葉が話せなくても苦労することはありません。日本も、外国人観光客を呼び込もうとするならば最低限英語が使える環境は必要です。何も難しい文法などいりません。商店であれば挨拶と商品の説明、お金の受け渡し。バス、電車の中には英語の道先案内、アナウンス。観光でアピールしようとしている地域なら、自分が外国人だったとしたらそこで観光しやすいかを考えてみるといいでしょう。堺はまだまだです。
以上、外国人観光客の獲得をテーマにした今回の記事でした。
海外を旅すると分かるのですが、日本は本当に日本人ばかりの国です。
日本人ばかりでなんとかやってきた国なので、外国人観光客の誘致にはどこか戸惑いもあるかもしれません。しかし、今の日本には新しい風が必要です。それはもう国内だけでは賄えません。外国から注目されることで日本人が自国の文化に改めて自信と誇りを持つことにも繋がると思います。
世界から日本に、関西に、大阪に、そして堺にどんどん観光に来てもらいましょう!