政投銀、中国関連事業に本腰 取引先企業の進出後押し

2010.8.17 05:00

クレーンが林立する中国の鉄道建設現場。政投銀はインフラ事業への融資も手がけたい考えだ(ブルームバーグ)

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 日本政策投資銀行が中国関連事業に本格進出する。中国案件の情報収集などを専門に行う部署をすでに設立。今後、M&A(企業の合併・買収)の助言業務を行うなどして、取引先企業の中国進出を後押しする。完全民営化への移行期にあるとされる政投銀だが、他の邦銀と同じく国内向け融資業務は伸びが期待できない。経済発展が著しい中国を中心に、海外事業を新たな活路とする考えだ。

 政投銀は5月、取引先企業による中国進出のサポート拠点として、行内に「中国チーム」という部署を設立した。中国案件の情報収集窓口となり、M&Aの助言業務や、政投銀の業務提携先のネットワークをいかしたパートナー探しなど、取引先企業へさまざまな提案を行う。今月下旬に営業現場の課長クラスが取引先の中国拠点を回り、事業の現状を把握する。

 また、中国での上場に関する助言や、取引先の中国事業会社への出資、中国国内のインフラ事業などに対するプロジェクトファイナンスも手がけたい考えだ。すでに複数の取引先と契約へ向けた交渉が進んでいるという。

 これまでに欧米やシンガポールで案件を手がけたことはあるものの、海外での実績は「わずかだった」(関係者)。現在の海外事業向け融資残高などは非開示だが、中国を手始めに「今年度中に5000億円にまで伸ばしたい」としている。

 政投銀は小泉純一郎内閣が進めた行財政改革の一環として、2008年に特殊法人から株式会社へと衣替えした。完全民営化に向け、今後、政府が100%保有している株式の処分のあり方が検討されることになっており、体力強化を求められている。(山口暢彦)

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