バックナンバー一覧▼

“外交弱小国”日本の安全保障を考える

ソフト福田政権でも続く日本糾弾の実態

 福田政権登場後の同種の動きとしては、つい最近の11月20日に、オランダ議会の下院が同様の慰安婦問題での日本非難決議を採択していた。この間、福田首相は慰安婦問題、あるいは他の戦争や歴史にかかわる案件について、外国の日本非難勢力を反発させるような言動は一切、とっていない。むしろ戦争や歴史については福田氏は対外的に融和と呼べる態度で知られる政治家なのだ。

 しかしそんなことは一切、構いなく、オランダでもカナダでも日本糾弾決議が採択されたのである。この点は、日本国内の一部にもある「慰安婦など歴史問題は日本側が見解を改めるような強硬な態度をとるからこそ、外国が非難してくるのだ」という主張が虚構であることを証明してしまった。

 ではカナダでの実態をみよう。

 連邦議会の下院本会議が発声投票で反対表明なしに採択した慰安婦決議は、カナダ政府が日本政府に対し次のよう措置をとることを奨励すべきだ、と宣言していた。

 「日本政府は日本軍の強制売春システムへの関与に対して、犠牲者すべてへの国会での公式かつ誠意ある謝罪の表明を含む全面的な責任をとること、そして影響を受けた関係者への対応を和解の精神に基づいて継続すること」
 「日本政府は日本軍のための『慰安婦』の性的な奴隷化や人身売買は実在しなかったとするような主張は明確かつ公的に否定していくこと」

 こうした日本への命令のような要求の背景説明として同決議は次のようにも述べていた。

 「日本軍は1930年代から第二次世界大戦全体を通じて、アジア各地や太平洋諸島で若い女性を性的奉仕の目的のみに獲得することを公式に命じた」
 「日本の一部の当局者は1993年当時の河野洋平官房長官が謝罪や悔悟を表明した声明を薄める、あるいは撤回することへの期待の意向を最近、述べた」

 以上のような決議案を提出したのは野党の新民主党所属の中国系女性議員、オリビア・チョウ(中国名・鄒至蕙)女史だった。提案理由を説明する議場での発言でチョウ議員は次のように述べていた。

 「第二次世界大戦中、多数の15歳の少女たちが日本軍の数知れない男たちによる拷問と強姦に何週間も、何カ月間も、何年間も、課せられた。20万人以上もの女性がその種の拷問の苦痛を味わわされた。こうした性的奴隷の生存者のうち4人が本日、この議会にきて、わたしたちが日本に公式の誠意ある謝罪を表明することを要求するよう求めている。さあ、カナダは慰安婦の味方をするのか」

 この発言はカナダ政府への質問の形でなされた。それに答えたのは政府の多文化主義・カナディアン・アイデンティティ担当閣外相のジェイソン・ケニー議員だった。チョウ議員の発言に謝意と同意を述べていた。

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。