【社説】対中外交に多くの人材を投入し体制を整えよ

 外交通商部は中国との外交関係強化に向け、中国担当の課を一つから二つに増やし、担当者も本部と現地に合計20人以上に増員する計画を発表した。同部には、米国などを担当する北米局に三つの課が設けられているが、東北アジア局の中国課で働く人材は、1992年の韓中修好当時の8人(アシスタントを除く)のまま変わっていない。同部に勤務する2000人のうち、中国語ができるのはわずか85人ほどだ。

 韓中の昨年の交易額は1410億ドル(現在のレートで約11兆4700億円、以下同じ)に上り、米国(9.7%)と日本(10.4%)を合計したものよりも多い。また、経済以上に重要かつ緊急なテーマは北朝鮮問題だ。北朝鮮の核問題解決に向けた6カ国協議や、哨戒艦「天安」沈没事件後の国際情勢などからも分かるように、中国を通さなければ北朝鮮の開放や、北朝鮮の態度に変化をもたらすのは困難な状況だ。韓中関係は2008年に「戦略的協力同伴者関係」へと格上げされたが、天安事件以後、両国が戦略を共有するには多くの課題が残っていることを、誰もが実感した。いつ起こるか分からない北朝鮮急変の日が、韓半島(朝鮮半島)と韓民族の運命を変えるのは間違いないだろう。これに備えつつ韓半島の平和を維持し、統一への道を切り開いていくためには、対中外交の幅と深さに対応できるだけの人材と体制面で、より一層の強化が求められる。

 大韓民国には中国通と言えるような人物が非常に少ない。中国の指導者クラスは、韓国側に自らの本心を打ち明けられる相手がいない、とよく口にする。外交通商部の幹部や大統領補佐官などには、米国通や日本通はいても、中国の事情に精通した人材はほとんどいない。韓中国交樹立や中国の改革・開放後に外交通商部に採用された人材は、今ようやく中間管理職クラスだ。政府は駐中大使に元大統領秘書室長を任命し、各界と意思疎通を図れるよう、その格を引き上げようとしているが、中国語ができないため、深いコミュニケーションを取るには限界があると指摘されている。

 外交通商部内で中国担当者の地位を、中国と実質的な対話ができる程度に直ちに引き上げるのは無理だが、それを補うために外部から相応の専門性を持つ人材を招き入れることは検討に値するだろう。韓半島全体に及ぶ中国の影響力や、北朝鮮問題など、将来の不確定要素は尽きない。これらを正確に把握し、適切に対応するためには、中国外交の「表面と本質」を見極めることのできる人材を直ちに確保し、そのシステムを強化していかなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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