白菜高騰から1カ月、産地廃棄を懸念する政府

 全国を恐怖に陥れた白菜価格の高騰が沈静化しつつあります。例年に比べてまだ高い水準ですが、16日現在、ソウル市内の卸売市場の白菜価格は1株3721ウォン(約273円)と、最高値を記録した先月27日に比べ、70%下落しました。農水産物流通公社が集計する小売価格も6100ウォン(約448円)と、15日連続で下落しています。農林水産食品部は、「白菜の出荷地域が江原道から全国に広がり、現在のように好天が続けば、搬入量増加と輸入白菜の影響で価格の下落が予想される」との見方を示しました。

 ところが、価格の高騰から1カ月が経過した今、農林水産食品部は新たな心配事を抱えています。秋と冬のキムジャン(越冬用のキムチの漬け込み)用の白菜価格が暴落し、白菜が産地廃棄される事態が起こるかもしれないというわけです。最近は作況状態がよく、12月から出荷される越冬用の白菜の栽培面積が昨年に比べ10%ほど増加する見通しです。さらに輸入産の白菜が増加し、価格下落が必至の状況です。

 政府の対応も、1カ月が経過して一転しました。白菜価格の高騰により、今年末までは中国産の白菜に対して関税を課さないことにしましたが、この方針を変更するか、あるいは余剰分をキムチ工場に回すかといった案を検討しています。政府の関係者は「1カ月で状態が一変し、まさに綱渡りをしているような心境」と語りました。

 白菜の産地廃棄は年例行事と言っても過言ではありません。毎年「過剰生産→価格暴落→産地廃棄」という悪循環が繰り返されてきました。農林水産食品部によると、政府が過去10年間、需給調整のために産地廃棄した白菜は49万トン、金額に換算すると290億ウォン(約21億円)に達します。つまり、年間平均29億ウォン(約2億1000万円)相当、4万9000トンの白菜が地中に埋められているというわけです。

 流通構造を改善するなど抜本的な対策を講じなければ、乱高下する白菜価格のせいで農政に対する信頼が失墜することになるでしょう。

イ・セヌリ朝鮮経済i記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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