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【プロ野球】タカ CS初のスミ1完封リレー 日本シリーズ進出に王手2010年10月17日 紙面から
◆ソフトバンク1−0ロッテ9回2死。ソフトバンクの守護神・馬原は外角低めに152キロの速球を突き刺した。佐藤主審の右手が挙がる。2時間56分の忍耐戦から解放され、秋山監督はようやく表情を緩めた。 「相手のミスで取った1点だけだったからね」。無安打で挙げた初回の1点を4人の継投で死守し、7年ぶり日本シリーズ進出に王手をかけた。「ちゃんと仕事をしてくれた」。指揮官の口から森福と摂津の名前が出てきたのは、当然だった。まずは森福。6回2死一、二塁で登場すると、代打・今岡を134キロのシュートで中飛に仕留めた。 昨年の春季キャンプ。伸び悩む左腕に声をかけたのは、就任1年目の指揮官だった。「打者にとって緩い球は打ちにくいんじゃなくて、打てなかったらショックなんだよ。遅いから、ボールを見る時間も長くなる。飛ばしてやろうと体に余計な力が入ってしまうんだ」。緩い球の効用を、元スラッガーの視点で説いた。その言葉に偽りはなかった。 その森福が招いた7回2死二、三塁の窮地。しのいだのは摂津だった。後続を断ち、8回も投げきった。最下位の2008年は4・42だった救援陣の防御率。しかし昨季は3・32、今季は2・84まで飛躍した。ブルペンは現在のチームの看板であり、最大の武器。「100%、持ち味が機能したね」。プレーオフ、CSを通じて初の“スミ1零封”に王会長も興奮が口を突いた。 歓喜のベンチ裏。それでも、秋山監督は一人感情を押し殺したままだ。「あと1つ勝つのが、大変なんだよ」。初のCS突破。耐えしのいできた将の思いは、ソフトバンク7年ぶりの本拠地胴上げとともに結実する。 (西口憲一)
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