「J1、G大阪5‐1大宮」(16日、万博)
G大阪はホームで大宮に5‐1で大勝し、勝ち点46で3位に浮上した。0‐1の前半14分にFW李根鎬(25)の移籍後初ゴールで追いつくと、同32分にはU‐19アジア選手権から合流したMF宇佐美貴史(18)が勝ち越しゴール。その後も追加点を奪い、大宮を圧倒した。C大阪は浦和に0‐2で敗れ、4位に後退。J2降格圏にいる京都は清水と1‐1で引き分け、勝ち点16とした。
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その瞬間、1万5000人を超える万博の観衆が、1人のプレーヤーに魅了された。前半32分、MF宇佐美が中盤でのパスカットから、約30メートルをドリブル。DF3人を引きつけながら、自らシュートコースを切り開くと、強烈な左足シュートでGKの左を射抜いた。
「ボールを持った瞬間にゴールしか見えてなかった。ああいう点を獲りたかったし、今日はちょっと満足してます」。大勝の火付け役となった圧巻の勝ち越し弾に、若武者は胸を張った。
再出発を誓った試合だった。直前のU‐19アジア選手権でエースとして4得点を挙げながら、準々決勝・韓国戦で敗れ、来年のU‐20W杯の出場権を逃した。ぼう然と座り込んだ宇佐美だったが、帰りの飛行機の機内で悔しさがこみ上げて涙を流したという。
「あの悔しさは世界でしか晴らせない。1番の目標はA代表。点を取り続けて、代表に入っていきたい」。ありったけの気持ちを込めた一撃は、来年から予選の始まる五輪代表、そしてザック・ジャパン入りへの決意表明だった。
チームは3位に浮上。17日に試合のある名古屋との勝ち点差を8に詰めた。残り8試合。数字上、逆転Vは厳しい状況にある。それでも「優勝をあきらめるつもりはない。チームが勝てるように、自分が結果を残していく」。無限の可能性を秘めた18歳には、奇跡への確信がある。