初戦を制しナインを出迎える原監督(中央)
「セ・リーグCSファーストS・第1戦、阪神1-3巨人」(16日、甲子園)
勝利への執念だった。2点リードの九回。巨人のマウンドにいたのは、守護神クルーンではなく、八回途中から救援した山口だった。最後は代打の桜井を併殺に仕留め、抑えの役目を果たした。原監督は「ご覧の通りです」と山口を抑えに選んだ理由こそ明かさなかったが、選手のプライドよりも勝利を優先したさい配だったのは間違いない。
東野を代えるタイミングも、計算通りだった。5回2安打1失点。球数もまだ83球だった東野をベンチに下げ、六回からゴンザレスを投入した。その結果、2回2/3を無失点。首脳陣の期待に応えた助っ人右腕は「CSに入ったら役割がどうとか言ってられない」と、先発へのこだわりを捨てチームプレーに徹した。
ゴンザレスのロングリリーフ、そして山口の抑え。「短期決戦の中での最善策。思い切った用兵が大事だと思う」。途中から入れた松本や脇谷にファインプレーが飛び出す。これまでWBCなど短期決戦を数多く経験した原監督は、力強く胸を張った。
ファイナルS進出へ王手をかけたが、指揮官に気の緩みはない。「今日と同じ集中力で戦っていきたい」。切れ味鋭いさい配で、日本一連覇に突き進む。
(2010年10月16日)