
この世には触れてはいけない場所がある
5 :本当にあった怖い名無し:2010/03/30(火) 18:52:23 ID:c+YgsPqF0
しかし、僕たちの地元には有名な心霊スポットなどはありません。
一応超有名なスポットがあるにはあるのですが、地元の人間にとってはあまりにも近場で、おどろおどろしい雰囲気など微塵も感じないのです。
それにその場所は小学生の時の遠足のコースにもなっているのでなおさらです。
しばらく考えたのですが、どうもいい場所が思いつきません。
するとMが「あそこはやばいけどなぁ…」と思わせぶりなことを言い出しました。
詳しく聞いてみると、何やら祟りとか呪いとかに関する話のようで、その場所に行くと呪われて死ぬらしいのです。
何かの神様を祀っているらしいのですが、地図などにも一切載っておらず、そもそも何の神様なのかもわからず、その神社には名前もないらしいのです。
Mは元々は或る村の出身(現在は僕たちが住む市と合併しております)なのですが、今でもその辺りでは神社のことは最大のタブーとされているらしく、誰も近づこうとしないそうです。
事実、Mも幼いころからその場所に近づくことは厳しく禁止されていた、というか、その話題を持ち出すこと自体も禁止されていたらしく、現在にいたるまで一度も行ったことはないそうです。
しかし、Mが幼い頃のある日、親戚のお兄ちゃんが面白半分でその場所に行こうと言い出し、幼いMも半ば強引に同伴させられたそうです。
Mの実家からしばらく歩いたところの茂みの奥にその場所はあるらしいのですが、その茂みから奥への進入を禁止されていた為、幼いMは茂みの入り口で待っていたそうです。
6 :本当にあった怖い名無し:2010/03/30(火) 19:31:34 ID:c+YgsPqF0
しかし、しばらく待っても親戚のお兄ちゃんは帰って来ず、怖くなったMは家へと逃げ帰ったそうです。
親戚のことは心配だったのですが、親にそのことを話すと怒られると思い黙っていました。
その後も親戚は帰って来ず、当然捜索が開始されました。
警察も来てかなり大騒ぎになったそうですが、結局親戚は見つかりませんでした。
Mは罪の意識に苛まれ続けましたが、怒られるのが怖くてどうしても言いだせなかったそうです。
それから一週間ほどが過ぎて、唐突にその親戚が見つかったそうです。
失踪した当時のままの格好で歩いているところを保護されたそうですが、どうも精神を病んでしまっていたらしく、入院中に怪死したそうです。
詳しい話は聞かされなかったようですが、発狂したように暴れたり叫んだりしながら死んだという噂だけは耳にしたようです。
そんな噂を聞いて余計に怖くなったMは、ついに今に至るまであの日のことを告白することができずにいたそうです。
最初の波止場からMの実家付近へ車を走らせる道中でその話を聞いていたのですが、今思えば僕たちにそれを語った時のMは何か決意めいた顔をしていました。
7 :本当にあった怖い名無し:2010/03/30(火) 19:35:37 ID:c+YgsPqF0
しばらく車を走らせたのち、僕たちはMの実家付近にある問題の茂みの前に到着しました。
あの波止場での白い手首の話が落ち着いた直後は心霊スポットなんて屁でもないと思っておりましたが、Mの告白を聞いている内に僕もSも完全に怖気づいておりました。
うまく表現できないのですが、何か直感的に"やばい"という気持ちになっておりました。
茂みの前に車を止めてしばらく沈黙が続いておりましたが、意を決した僕は正直に心情を吐露しました。
ここは何かやばい気がするから今日はもう帰ろうぜ、と提案すると、Sもそれを待っていたかのように僕に賛同しました。
しかしMはしばらく黙り込んでから、それなら2人はここで待っていてくれ、俺が一人でこの先を見てくると言い出しました。
辺りは当然真っ暗闇ですし、コンクリートで舗装されているとはいえ近くには街灯すらない完全な山道です。
その脇に続く茂みの中に分け入るというのですから、もはや正気の沙汰とは思えません。
当然僕もSも必死に止めましたが、Mは頑として聞かず、勢いよく車のドアを開けるとそのまま茂みの奥へと入って行きました。
僕とSは互いに顔を見合わせて、「どうすんの」とか「やばいだろ」とか言いながら狼狽しておりましたが、どちらもMのあとを追う勇気はありませんでした。
とにかくMが茂みから出てくるのを待とうということになりましたが、もしMがこのまま帰ってこなかったらどうしようという不安でいっぱいでした。
もしあの親戚のお兄ちゃんのようにMの身に何かあったらと思うと怖くてたまりませんでした。
今だから多少は冷静に書けますが、その時は異常なほどの興奮状態にあり、心臓の音が聞こえるほど動悸が激しくなっていたことを思い出します。
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