東京都葛飾区で96年、上智大4年の小林順子さん(当時21歳)が殺害され、自宅に放火された事件で、現場の自宅跡地に建設中だった地元の金町消防団第8分団の格納庫が完成し、17日に落成式があった。同消防団の団員ら約40人が出席。順子さんの父賢二さん(64)は「地域の安全、安心を保つ場所にしてほしい」と話した。
格納庫は鉄筋2階建て。防火服やホースなど消火器具を収納しており、地域での火災発生時に役立てる。自宅は事件で全焼したために空き地になっていたが、「防犯や防災の拠点にしたい」との思いから、小林さんが土地を無償提供し、今年7月に着工していた。
今後は敷地内の一角に、順子さんの冥福を祈って地蔵を造るという。小林さんは「現場に格納庫や地蔵を残すことで、事件の風化を防ぎたい」と願っている。事件の情報提供は警視庁亀有署捜査本部(03・3607・9051)。【内橋寿明】
毎日新聞 2010年10月17日 19時49分