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取り調べメモ「廃棄」 少年院暴行事件で広島地検 '10/10/18

 広島少年院(東広島市)の暴行事件で、特別公務員暴行陵虐罪に問われた元首席専門官向井義(ただし)被告(49)の捜査に関し、広島地検が向井被告の取り調べメモを「廃棄した」と弁護側に説明していたことが17日、分かった。広島地裁での公判は検察側が懲役1年6月を求刑して結審し、11月1日に判決が言い渡される予定だが、弁護側は地検の対応を疑問視している。

 事件で広島地検は、向井被告に対し、2009年5月から任意の事情聴取を開始。同年8月に同容疑で逮捕した。

 同年10月の初公判で向井被告は「暴行はしていない。教育、指導の一環だった」と無罪を主張。弁護側は「検察がストーリーに沿った供述を求め続けた」として、暴行を認めたとされる逮捕前の取り調べメモの開示を求めていた。地検は「メモを廃棄した」と回答したという。地裁は逮捕前の供述調書2通を証拠採用している。

 最高検は、08年7月と10月に検事や副検事のメモの取り扱いについて通知。取り調べ状況が争いになる可能性があると判断した場合、一定期間の保管などを指示している。

 元局長の無罪が確定した厚生労働省の文書偽造事件で、大阪地検特捜部による関係者の取り調べメモの廃棄が発覚。向井被告の弁護団は「メモの廃棄についての経緯も説明がない。取り調べ担当検察官に調査もしなかった」と強調している。

 広島地検は中国新聞の取材に対し、「必要なメモは保管している。今回は必要ないと判断し廃棄した。通知には違反しない」と説明している。

 起訴状などによると、向井被告は05年9月16日、院内で少年=当時(16)=の首をシーツで絞め、洗剤を混ぜて塩素系ガスを発生させた袋を顔に近づけ、「これを吸えば死ねる」と脅すなどした疑い。




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