中国各地で16日、尖閣諸島の領有権をめぐって日本に抗議する大規模なデモが起き、内陸部の成都にある日系のスーパーでは、正面玄関のガラスが割られるなどの被害が出ています。
中国国営の新華社通信によりますと、デモが起きたのは中国四川省の成都、陝西省の西安、それに河南省の鄭州の3つの都市です。このうち成都では、日本時間の16日午後3時ごろ2000人以上が中心街に集まり、「尖閣諸島を守れ」とか「日本と戦え」などと叫びながらデモ行進を行ったということです。成都にある日系のスーパー、イトーヨーカ堂の関係者によりますと、市内にある4店舗のうち、中心部にある「1号店」で、日本時間の午後3時ごろ一部の参加者が石などを投げて、正面玄関のガラス製のドアが割られるなどの被害が出たということです。このため、イトーヨーカ堂では買い物客を全員外へ避難させ、この店の営業をすぐに停止したということです。また日系のデパート「伊勢丹」の店員は「すべての買い物客を帰らせ、入り口を閉めていて、店員はまだ店から出ることができないでいる」と話しています。一方、新華社通信によりますと、西安ではインターネットでの呼びかけに応じた学生ら数千人がデモ行進を行い、「尖閣諸島は中国の領土だ」と主張するとともに、日本製品を購入しないように呼びかけたということです。デモ行進は、まだ一部で続いているものとみられますが、北京の日本大使館によりますと、これまでのところ、一連のデモで日本人に被害が出たという情報は入っていないということです。日本と中国の関係をめぐっては、先月、尖閣諸島沖で起きた中国の漁船による衝突事件を受けて関係が悪化しましたが、日本の菅総理大臣と中国の温家宝首相が今月4日ベルギーで会談したあとは、関係改善に向けて動き出していました。