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「天高く馬肥ゆる秋」は外敵に対する警戒の語だ、食欲と関係ない(興膳宏)


またまた興膳宏先生に勉強させ て貰った(今日の日経)。日本では秋が深まるにつれ空 気が澄み「天高く馬肥ゆる秋」となり食欲が進むのであるが、中国ではこの言葉は歴史的に現在に至るまで、日本で使われるような用例は一例もなく、常に外敵 の侵攻に対する警戒の言葉であるとのこと。

要旨:
  1. 「天高く馬肥ゆる秋」は、漢語では「秋高馬肥」である。その昔、中国北方に住む騎馬民族の匈奴は、秋の訪れとともに 南進して辺境を脅かした。『史記』匈奴列伝にも「秋、馬肥ゆ」時期は漢民族にとっての大きな脅威の時期だとある。
  2. 杜甫の祖父杜審言も辺境防衛に従事する友人を励ます内容の詩を書いているが「秋高くして塞馬肥ゆ」とある。
  3. 杜甫も「高秋 馬肥健なり 矢を挟みて漢月を射る」と外敵の脅威を書いている。
  4. 清朝の頃にはこの言葉はロシアの脅威を説く文章にも現れるようになった。
  5. 日本語のように秋の爽快さや秋の食欲を表す成句は、今に至るまでない。

同じ漢字を使うからと言って、お互いに分かり合えると思ったらトンデモナ イ誤解を招くかも知れないという例ですな。中国ビジネスをやられる方で、へんに教養のある方、要注意。

Posted: Sun - October 2, 2005 at 10:41 AM           |  


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