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盗聴恐れ、警官に取材阻まれ… 「これが中国の現実」(1/3ページ)

2010年10月17日22時1分

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 「当局の監視が厳しい。分かるだろ。外出は難しくなったので、自宅に来てくれ」

 男性はそう短く言って電話を切った。番号表示にかけ直すと女性が出て、言った。「これは公衆電話です」

 中国の民主活動家、劉暁波(リウ・シアオポー)氏のノーベル平和賞受賞決定を受け、中国で民主化を求める人々への当局の監視が厳しさを増している。「言論の自由」を求める公開書簡を出した中国共産党の元幹部ら23人の取りまとめを担った民主派雑誌編集者、鉄流氏(77)への接触も困難を極めた。

 鉄氏が通う北京市内のスポーツセンターで自然な形で会おうとの話だった。が、直前にかかってきたのがこの電話だった。男性は「鉄さんの秘書」とだけ言った。盗聴を恐れているのは明らかだった。

 指示通り、郊外の自宅に向かった。しかし、住宅地の門で警備員に止められてしまった。鉄氏に電話をかけたが、通じない。数分後、制服警察官2人が姿を現した。

 「外国人の方ですね。身分証を見せてください」。外国人であることをすでに知られていた。パスポートと記者証を確認され、だれに会いに来たのか、などと尋ねられた。返答を拒むと、「ここから先は住民の許可がなければ入れない。取材は認められない。連絡がつかないのなら帰れ」と言われた。

 なお門の外で待っていると携帯電話が鳴った。「面倒なことになった。今は会えない。これが中国の現実だ。分かって欲しい」。秘書を名乗る男性の声だった。短く言うと、電話は切れた。

 あきらめて住宅地を離れると、しばらくして携帯電話に電話番号だけが書かれたショートメッセージが入った。すぐにかけると別の男性が出た。なまりのきついだみ声だ。「この電話なら、しばらくは大丈夫だ」。鉄氏だった。

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