学天即(がくてんそく)
左から:四条(よじょう)和也、奥田修二
連載1つめのお題『注目の新星コンビ』。関西発の若き刺客は、「M-1をテレビで見て漫才を始めた」というまさに申し子。結成6年目にして、本拠地である大阪よしもと若手の劇場・baseよしもとでメキメキ頭角を現す学天即に、今年のM-1について根掘り葉掘り聞いてきました!
ブラックマヨネーズ・小杉、南海キャンディーズ・山里らを思わせる「真正ツッコミ師」奥田と、ボケも髪の毛も見事に天然な四条が繰り広げる、王道しゃべくり漫才でじわり人気上昇中。アマチュア時代の2005年、初出場にして準決勝進出という鮮烈なM-1デビューを飾った2人だが、6回目の出場となる今年は、とにかく「力を抜いて」いくとのこと。さてその真意は?
「漫才をする」ことに、ようやく慣れてきた
――baseよしもとの「GRAND-bATTLE ワラb」(※3ヵ月に1回のランク入れ替え戦)で上位に食い込むことも増え、キングオブコントでは準決勝進出。勢いに乗ってますね。
奥田 キングオブコントは毎年、出場していたんですが、しっかり練習して臨んだのは実は今回が初めて。いい経験ができました。漫才のネタをコントに置き換えてやると、漫才でウケるところがコントではウケなかったり、またその逆があったりと、いろんな発見があって……M−1にも生かせそうです。準決勝は「決勝行けたかも!?」と思うぐらい手ごたえがあったよな?
四条 うん。キングオブコントで「ウケた」貯金がM-1に回ったりせえへんかなあ。
奥田 その場その場で終わりや! 回るわけないやろ(笑)。
――一方のM-1では、ここ数年、3回戦の壁に阻まれています。
奥田 3回戦で敗退すると、翌年は1回戦から出場しないといけないんですよね(※前年度の準決勝以上進出者は、シードとして2回戦からの出場)。これ、僕は昨年がんばれなかった「罰ゲーム」だと思ってるんです。自分たちはまだ、アマチュアの方たちと同じラインなんだという……その悔しさをバネにするしかないと思ってます。今年なんて、1年ぐらい前に飲み会で一緒になった女のコが同じ日の1回戦に出てましたから(笑)。
四条 漫才で肩を並べられたってことやな。ショック大きいわ。
奥田 アマチュアのころのほうが、力を抜いて漫才できてたんでしょうね。M-1に対する思い入れが強いぶん、緊張してしまうんですよ。ただ、baseよしもとに出してもらうようになって2年半、ネタづくりから舞台までひっくるめて「漫才をする」ことに、ようやく慣れてきた気がするので……。
四条 今年あたり、行くんじゃないですか(ニヤリ)。
「笑い飯チルドレン」としては、もし決勝に行けたら……
――単独ライブやソロイベントも、今年はすごい数をこなしていますね。
奥田 例えばM-1が“カギのかかった扉”やとすると、去年までは1つの鉄の棒をカギ穴に入れては「あ、ちょっと違うな」って削って、また入れて、また削って……という作業をしてました。でも、僕たちはネタを削ったり伸ばしたりして1つのものを仕上げていくのが苦手なんや、と気づいた。だから今年は、とにかくいろんなネタを突っ込んでみて、数でこじ開けるしかないんちゃうかなと思ったんです。
四条 ライブを通して、ネタはかなりの数作ったもんね。その中から勝負できるものが出てくれば。
――今年は3回戦の次に準々決勝があります。予選が1回増えるわけですが……。
奥田 もう、何回勝ち抜いたら決勝に行けるのかわからなくなってきた(笑)。だから、とにかく気楽にやろうと思ってます。去年までは、やっぱり力みすぎでしたからね。
四条 僕もこう見えて、かなり緊張するんですよ。一人のときは、ずーっと「エア奥田」とネタ合わせをしてるぐらい(笑)。
奥田 僕は緊張がピークに達すると鼻水が大量に出ます。
四条 それ、過去2回ぐらい見たことあるわ。そういえば去年の3回戦でも出てた! これからは出んようにしてもらわんと。
――今年は笑い飯さんなどラストイヤーの芸人さんも多く、ますます激戦になりそうです。
四条 素人だったころ、M-1で初めて笑い飯さんを見て度肝を抜かれたのが、僕らが漫才を始めたきっかけで……。
奥田 言ってみれば笑い飯チルドレンなんですよ、僕ら。だから、もし決勝で並んで戦えることになったら、僕はきっと史上最高に鼻水をたらすでしょう(笑)。
10月の単独ライブでは、今年作ったネタ40本のなかから選りすぐりの10本を披露。「数でこじ開ける」ための仕込みの時期を過ぎ、いよいよ本番に向けて走り出した学天即。1年かけて貯めに貯めた「ありネタ」で、決勝の分厚い扉をこじ開ける!
▲色紙でひとこと「頑張ってありネタするぞ!!」
学天即に5つの質問
四条「四国にいる(遠恋中の)彼女の家で見てました」、奥田「お世話になっている放送作家さん宅でピザを食べながら。1人ではとても見れなかったですね」。
四条「2003年の笑い飯さん。あのスタイルにもネタにも衝撃を受けました」、奥田「もしM-1の笑い飯さんを見ていなかったら、お笑いをやっていなかったと思う」(奥田)。
四条「ここからがスタートやな」、奥田「『誘ってくれてありがとうと言え!』と言います」。
四条「(我々取材陣に向かって)今日ここにいるみんなでラスベガスに行きましょう!」、奥田「少しだけ自分に残して、あとは後輩にごちそうしたり、親にあげたり」。
四条「スーパーマリオの土管みたいなワープゾーン。一気に飛び級できる」、奥田「分厚い和風の門。なかなか扉は開かないが、横に小さな勝手口もあって、スルッと入れる人もいる」。
PROFILE
学天即(がくてんそく)
左から四条和也、奥田修二。小学校からの同級生で、2005年9月にコンビ結成。若手芸人がしのぎを削る劇場・baseよしもとで、トップクラスである「ワラbメンバー」の一員として活躍中。10/15(金)~17(日)に開催される「LIVE STAND OSAKA2010」(@インテックス大阪3~5号館)に出演。ほか、ネタライブ「漫才ZANMAI」(10/29(金)@baseよしもと)などライブ出演多数。baseよしもと:http://www.yoshimoto.co.jp/base/
オートバックス M-1グランプリ2010:http://www.m-1gp.com/
「かっとばせ!エヴァンゲリヲンズ」この人を食ったような名前こそ、今年のM-1に向けガリガリガリクソンが結成した新コンビ。盟友・浅田マオーとともに“アスカ&シンジ”のコスプレで1回戦に臨み、見事突破! いろんな意味で場をさらってしまう濃ゆ~い芸風は、まさに笑いの凶器でした。昨年はトリオで出場したものの、3回戦敗退で涙を飲んだガリクソン。今年こそ悲願の準決勝、いや決勝進出なるか!? チェックしておいて損なしです!
(取材・文/乾野由佳 構成/松田優子)