JR東日本東京支社の管理で唯一残っていた品川駅のチップ式トイレが廃止され、十月から通常の無料トイレになった。比較的きれいで快適に利用できる代わりに、利用者に維持管理の協力金を求めてきたチップ式。近年は他のトイレの整備が進み、差がなくなったためという。
チップ式導入前の品川駅トイレは「汚い」と評判がよくなかったため、一九九八年の駅大規模改修で整備。他駅より内装などのグレードを上げ、清掃も手厚くした。維持管理の“気持ち”としてチップをお願いした。
しかし近年、化粧ルームや広いスペース、バリアフリーを備えた快適なトイレが次々と誕生。利用者からチップ式への疑問の声が上がっていた。
新橋駅、東京駅では既にチップ式を廃止しており、東京支社管内(民間管理は除く)ではチップ式はなくなった。ただ、新宿駅により設備の整った有料トイレ(百円)が残っている。
品川駅ではチップ廃止にあたり、トイレ入り口壁にあった「tip(チップ)」の文字が外され、小銭の投入箱も閉鎖された。
トイレから出てきた千葉県船橋市、会社員男性(39)は「昔は小銭を入れていたが、最近は公共施設のトイレがきれいになったこともあり、入れようと思わなくなった」。駅近くに住む主婦の女性(70)も「日本にチップ式はなじまない。皆入れていないし、私も必要ないと思う」と話す。
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