「漢江の奇跡」を成し遂げたKDIは今
ソウル市東大門区にある韓国開発研究院(KDI)で7日、国会政務委員会による国政監査が行われました。監査の対象となったのは首相室の経済人文社会研究会と、同研究会所管の23の国策研究機関です。委員長を除く23人の委員は与野党の立場に関係なく、国策研究機関による安易な研究活動の実態と予算の浪費について追及しました。
最も厳しく追及されたのは、研究課題が途中で放棄されている問題です。最近は研究員の多くが、大学教授や民間研究所などに転職し、すでに始まっている研究課題が宙に浮いてしまうケースが多く、その場合、投入された予算も回収できません。23の国策研究機関の中でこうした研究中断の件数が最も多かったのが、皮肉にも国策研究機関の代名詞ともいえるKDIでした。
KDIが与党ハンナラ党の高承徳(コ・スンドク)議員に提出した資料によると、2008年から現在までに、責任研究員の休職や退職などで研究が中断したケースは8件に上ることが判明しました。テーマの重複や政策の転換により中止となったものまで含めると、その数はさらに増える見込みです。研究が中断されれば、投入された予算は無駄になってしまいます。昨年6月に別の研究機関に移されたことで中断した「経済教育協議会事業」には1億3000万ウォン(約950万円)が投入され、今年初めにスタートしながら研究担当者の退職で中断した「国内金融機関の信用リスクと海外での金融リスクの関連性」に関する研究には、すでに1100万ウォン(約81万円)が投入されました。
監査の席で高議員は、「研究課題が途中で放棄された件数が最も多いのはKDIだが、このことを把握しているのか」「予算の規模からすると、すでに執行された分だけでかなりの額になるが、これらを処理する方法はあるのか」と問いただしました。これに対し経済人文社会研究会の理事長は、「研究員の退職などで業務に空白が生じている実態については深刻に受け止めている。早急に対策を取りまとめたい」と回答しました。
さらに、作成された報告書の数や論文のレベルについても指摘を受けました。昨年、政府から最も多くの支援を受けたKDIの研究員一人当たりの発表論文数は0.38本で、23ある研究機関の平均0.64を大きく下回りました。また、研究機関に与えられた課題を再び外部に委託した件数でもKDIが1位でした。ハンナラ党の裵英植(ペ・ヨンシク)議員は、「該当する業務の専門家が不足しているケースや、ほかの研究機関との協力が必要なときには、やむを得ず外部に委託することもある。しかしその割合が非常に高い場合、研究機関の存立自体にかかわる問題だ」と指摘しました。
KDIは朴正熙(パク・チョンヒ)大統領時代の1971年、韓国の経済発展のビジョンを描く最高のシンクタンクとして設立されました。KDIが発表する研究報告書や成長率の指標は、政府による政策だけでなく、市場にも大きな影響を及ぼしました。しかし、このような名声や誇りがもはや失われつつあるのは、非常に残念でなりません。
イ・セヌリ記者