「統一税の新設より、経済に再投資すべき」(上)
「統一費用を用意するに当たり、韓国の国富を養うことが長期的に見て統一経済の助けとなる」
ドイツの経済政策シンクタンク「ドイツ経済研究所(DIW)」で、統一ドイツ経済分野最高の専門家に挙げられるカール・ブランケ博士は、「南北統一後、北朝鮮の住民が韓国に大挙して移住することを防ぐように」とアドバイスした。北朝鮮の労働力の大量離脱は、北朝鮮の経済崩壊を誘発し、韓国経済にも大混乱をもたらすため、統一後も南北間の経済システムをそれぞれ運営し、段階的に統合していくべきとの意見だ。さらにブランケ博士は、「時期や使い道が不明瞭な統一税を課すよりは、その財源を韓国経済の生産的部分に投資する方が、長期的に見て統一韓国経済の助けになるだろう」と語った。以下は、博士との一問一答。
-ドイツでは20年間で総額1兆4000億ユーロ(約160兆円)もの統一費用が投じられたが、なぜこれほど多額の資金が必要だったのか。
「東ドイツ地域では道路や鉄道網、通信網など、各種インフラを完全に新設しなければならなかった上、東ドイツ住民の大量失業が、巨額の社会福祉費を支出する要因になったからだ」
-統一費用の総額のうち、社会福祉関連の支出の比重はどの程度だったのか。
「残念なことに、正確な統計はない。ドイツの年金システムは、労働者の勤続年数、掛金の納入期間を計算し、個人の寄与度に応じて福祉手当を支給することになっている。だが、東ドイツ住民向けの各種福祉は、そうした点を勘案せずむやみに給付したため、正確な規模は分からない」
-すぐに経済統合するよりも、二つの体制を維持しながら段階的に統合していく方が、統一費用を減らすことができたのではないか。
「当時、ドイツ国内にもその点を主張する人はいたが、東ドイツ住民が西ドイツに押し寄せ、西ドイツ住民と同じ暮らしの質を要求する声が非常に高まったため、そうした方法を選ぶことができなかった。票を意識した政治家のポピュリズムも、試行錯誤に拍車をかけた」