兵庫北条鉄道　食用油で全国初の営業運転

　台所で使い古した油が列車を動かす－。兵庫県加西市の北条鉄道に１６日、使用済み食用油を精製したバイオディーゼル燃料（ＢＤＦ）だけで動く列車が登場。全国初の営業運転を始めた。

　一番列車に乗り込んだ加西市の佐治朋弥君（５）は切符を手ににこにこ。母親の明美さん（４５）は「ほのかに天ぷらの香りがしますね」と不思議そうだった。

　北条鉄道は加西市などが出資する第三セクターで、毎年赤字続き。免税の鉄道用軽油に比べると、精製コストのかかるＢＤＦは割高だが、燃費や加速性能は変わらないという。同社は「環境に優しい列車」として観光客を取り込み、収入増につなげたい考えだ。

　加西市は飲食店や家庭から揚げ物などに使った油を集め、ことし３月までの１年間で約７万４０００リットルのＢＤＦを精製。公用車で軽油の代わりに使っている。ＢＤＦを使った列車は今後、週末を中心に運行する予定。

　千葉県のいすみ鉄道では、冬場を除き軽油にＢＤＦを５％混ぜた列車が走っている。（共同）

　［2010年10月16日11時4分］