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やはり「政治文化」を変える必要がある

2010年9月15日 The JOURNAL
 民主党代表選挙が終わった。メディアは「菅総理が大差をつけて小沢氏に勝利した」と報じている。では菅氏は党内の強い期待を受けて再選されたかと言えば全くそうではない。「まだ3ヶ月しかやっていない」という消極的な支持で再選された。
 
 総合得点は菅氏721ポイント対小沢氏491ポイントで確かに大差である。差が付いたのは党員・サポーターの票で249対51だが、これは300選挙区を総取り方式にしたためで、得票率で見ると菅6対小沢4の割合である。地方議員票も6対4の割合だった。一方、国会議員票ではわずかに6票差で菅氏が勝利し、党内の支持は二分された。
 
 この結果を見て政治の世界の選挙はいつもながら見事なバランスを作ると感心した。国政選挙は別にして、永田町の選挙は終わってみるといつもバランスが取れているというのが私の経験則である。勝者には確固たる勝利を与え、しかし敗者を決して潰さない。
 
 今回の選挙で勝利した菅氏は党員・サポーター、地方議員、国会議員のいずれでも勝利した。もし国会議員票だけ小沢氏が勝つようなことになれば、メディアは「民主党議員は世論と乖離している」と猛烈に攻撃しただろう。後に混乱をもたらすようなややこしい勝ち方はさせないのが永田町である。
 
 だから国会議員票でも菅氏は勝利した。しかしその差はわずかである。総合得点で菅氏大勝を印象づけ、一方で小沢氏は党内に確固たる力を有していることを証明し、なおかつ選挙後の政治を混乱させないバランスを保っている。小沢氏が国会議員票で菅氏の数字を上回っても少なすぎても党内は混乱した筈である。
 
 逆に小沢氏が勝利する場合も国会議員票だけで勝利することはあり得ない。その後の政権運営のためには党員・サポーター票でも勝利する必要があった。それが見込めないのなら敗者になって党内に確固たる力を持つ方が自分自身も民主党もダメージを受けない。
 
 前に「この国の政治文化をどう変えるか」を書いたが、いまだに「政治とカネ」の呪縛から解き放たれていないこの国では、やはり2週間程度の選挙期間で国民を説得する事は難しかった。結局、司法が「シロ」を証明するのを待つしかないと言うことである。小沢氏は検察審査会が議決するまで待つしかないと考えたのかもしれない。
 
 この選挙結果を受けて大変なのは菅総理である。選挙戦でやたらと「雇用」を叫んでいたが、そのための経済政策をどうするのか、小沢氏との違いを強調したが故に採れる道は狭い。同様に普天間基地の問題、尖閣諸島を巡る中国との関係、来年度予算編成など難問山積である。そして来年3月、本当に予算関連法案を成立させる事が出来るのか。その手腕が問われる。
 
 選挙で小沢氏の政治手法を批判した以上、政権運営で小沢氏に協力を要請することは難しい。来年度予算を成立させるためには自民党に協力してもらうしかない。大連立と言えば世間から批判を浴びるから、裏でこっそり手を組むのである。昔の自民党と社会党の関係再現である。表で激しく批判し、国会で激突して見せたが、自民党と社会党はしっかり手を組んでいた。国民の判断を誤らせるために存在するメディアが報道しなかっただけである。
 
 自民党に協力して貰うというのは民主党が自民党の要求を飲む事である。論理的にはそれ以外に予算を通す方法を私は考えつかない。よく話し合えば理解してくれる野党などある筈がない。お前が出来ないなら俺にやらせろとなる。
 
 菅氏をはじめ前原氏や枝野氏などはかつて自民党と連立を組んだ経験がある。自さ社の連立政権で、細川政権から自民党が政権を奪い返した時に重要な役割を演じた。その時の自民党の中心人物は加藤紘一氏であり、現在の谷垣総裁の後見役として控えている。
 
 「テレビ用の幹事長」に就任した石原伸晃氏が「菅政権となら手を組める」と口走ったそうだが、それはそういう話が進行していることを伺わせる。表に見えないようにしながら協力するためには綿密な裏の連携が必要である。一両日中に決まるだろう人事にはそういう要素も加味される可能性がある。
 
 政治の動きを考えるとそのようなシナリオが見えてくるのだが、民主党代表選で党員や議員の判断材料は「政治とカネ」と「ころころ変えて良いのか」だけだったようだ。代表選の最中に厚生労働省の村木局長が無罪になった。その事件は、昨年の総選挙前に東京地検と大阪地検がそれぞれ民主党幹部をターゲットに捜査を始めた事件と見られていた。
 
 選挙直前に政治家をターゲットに捜査をする検察など民主主義国家ではあり得ない。その点をこの国のメディアは騒がなかった。そしてその一方が無罪になった日、メディアは大阪地検の無能ぶりを言うだけで、同じ時期に東京地検が捜査していた西松建設事件には全く触れなかった。こうした体たらくを見るとやはり「政治文化」を変える必要があると思うのである。
(田中良紹)
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。

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