「まったく…酷い父親だな」
「お父さんは酷くないよ」
「酷くないなんてあるものか。お譲ちゃんをほったらかして自分は博打に行ってるんだぜ」
「バクチ・・・?」
「あー。まぁいいや。座りな・・・お譲ちゃん、えっと名前は?」
「玲音・・・おじさんは?」
「・・・赤木、赤木しげるだ」
「しげる、おじさん」
「まぁ好きなように呼びな・・・ところで玲音、ちゃん・・・」
「玲音でいいよ」
「ん?」
「ちゃん、をつけると、おじさん気恥ずかしそう。おじさんも、好きなように呼んでいいよ」
「じゃあ・・・玲音・・・。これでいいか?」
「うん・・・」
「・・・で、玲音。しばらく退屈なのもなんだ。何かしないか?つってもここには麻雀牌くらいしかねぇが」
「知ってる。お父さんがよくやる」
「へぇ。じゃあ玲音も打てるのか?」
「うんうん。お父さんがダメって」
「そっか。じゃあ仕方ないな・・・何をしよう」
「私、麻雀知りたい」
「だが、お父さんに駄目って言われてんだろ?」
「でも・・・知りたい」
「駄目だ・・・お父さんに悪いじゃねえか」
「お父さんには・・・言わない」
「そういうのは、いつかバレるもんだぜ」
「私、絶対バレないようにする」
「・・・。仕方ないな。そうだな。じゃあどの道、玲音にはまだ麻雀のルール覚えるのは大変だろうから、まず麻雀牌を使った遊びでもやろうか」
「遊び?」
「『9(ナイン)』って言ってな、この一から九までの数字が書いている牌を使ってやるゲームだ」