チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[22507] 【実験】機動戦士がんだむちーと【多重クロス】
Name: Graf◆36dfa97e ID:00f883d5
Date: 2010/10/14 11:20


 人間にとって、自己の概念というものは希薄ではなく明確である。少なくとも、自分にとってはそうであると考えていた。しかし、現実、モニターを通して自分にとっては未来、または妄想であったはずの光景を見ていると、それが果たして本当のものであったかに疑いを持たざるを得ない。

「2039年2月のスーパーチューズデー、地球連邦次期首相にリカルド・マーセナス候補がアメリカ、オセアニア、太平洋および欧州諸州の支持をもって当選確実となりました」

「スメラギさん、マーセナス候補の当確はどのような幕開けでしょうか?」

「候補の掲げる、人口爆発に対する解答としての宇宙移民は……」

 テレビを消す。現在時間、西暦2039年2月14日水曜日。そしてテレビに映ったニュースの内容はここが、機動戦士ガンダム、少なくとも機動戦士ガンダムユニコーンに関連する世界であることを示している。

 消したモニターに文字が映る。丁寧なことに日本語で、しかも簡潔明瞭に要求を伝えてきてくれている。

『転生作業無事終了。ジェネレーションシステムは、候補者に人類種の政治的要因に基づく減少の抑制を要求します』

 ここは月。地球からすると不相応に巨大な衛星の北極、地軸点直下20kmにあるらしい。

「Warsのアレ、とは……はぁ」

 ため息をつくしかなかった。




 第01話


「で、いったいどのようにすればこの要求にこたえられるのだろう」

 誰も聞いていないということは確かそうだが、さすがにコンソールに話しかける趣味は無い。ただ、ここまで技術的に隔絶しているならば、何らかの反応があるかもしれない、と口に出してみる。無駄ではなかったようだ。コンソールに新たな文字が生じる。


『候補者に連絡。当システムは候補者に従属し、様々な点で援助を行い、改変を可能とするものです Y/N』

 どこのDOS時代のモニターだ、と思いながら、コンソール前のキーボードのYキーを押す。

『システムは減少が抑制された人口、改変された歴史の結節点、候補者が獲得した人員・資源を数値化・運用することで援助を行います』

 つまり、人口減を抑制すること、各作品の基本的な流れに影響を与えらること、何らかの方法で資源・人員をえることで、自分の勢力のパワーアップをしていくらしい。Yキーを押す。

『人口減抑制、歴史改変でGPを獲得。人員・資源の獲得でRPを獲得します。人員の場合は獲得した人員の重要度によって獲得値は変化し、資源であれば純粋重量に基づく獲得値となります。また、RPは一定のレートに基づき、GPとして運用可能です。GPのプラスマイナスの基準は史実どおりの人口推移か否か。候補者のミスにより減少が生じた場合には減点します。それらとは別に、システムの起動初期段階にあるため、SPを提供。SPに基づき、初期戦力を調整していただきます。SP獲得に関しては、初期戦力の調整以降も使用可能で、値は候補者の行動によって変化します。初期調整後は、様々なTPOで用いることが可能です』

 3種のポイントを運用はするが、現在考えるのはSPで良い、と。レートがわからないし、選択肢も今は不明だから考えようが無いな。


『現状はGP:0、RP:0です。SPは30000。SPを用いて獲得できるのは以下の項目です。質問があれば音声にてどうぞ』

 表記が終わると同時にコンソール右上に30000の数字が、中央にリストが広がる。項目が色々分かれているな。身体強化、勢力伸張、部隊確保などなど、様々な項目が並ぶ。どうやら、大項目を選択すると小項目が選択できるようになるらしい。

「既にこちらが持っているものを減少させる場合、SPの獲得は可能か?」

 疑問は音声で、ということなので早速やってみた。たとえば、自分の持っているフランス語知識をペイに出せば、何かもらえるかもしれないと思ったのだ。身についた能力を失うのはコレまでの経験からするともったいなく思えるが、こんな場所に追い込まれたのであればなりふりはかまっていられない。

『良質問と判断、ポイントプラスします。可能です』

 ポイント欄を見ると1000ポイントの加算。どうやら、話すだけ話した方がいいみたいだ。

「良質問だ、なんてお知らせはいらない。なぜ私を選んだ?」

『知識がそれなりにあり、ある程度の識見を持った人間から無作為に抽出した結果です』

「趣味志向は問題ないと?」

『システムの目的達成に困難、もしくは障害となるような趣味の場合は当然抵触します』

「だろうな。この、大項目リスト欄外に、カーソルが反応を起こしている部分があるがそれは?」

 ピッ、という音と共にポイントが数万……7万2千へと上昇した。どうやら、いいところをついたようだ。

『本システムは候補者が「機動戦士ガンダム」として認識する作品世界に存在しますが、作品世界内の自由度だけで目的達成が困難な場合を考慮し、候補者の既知の世界に関する項目も支援対象として含めています』

「つまり、ガンダム世界だけで対応が不可能な場合は、他の作品から戦力をもってこい、と?」

『可能です。ただしその選択肢を選択される場合にはいくつかの制限がつきます』

「たとえば作品数が限定されるだとかもってこれる戦力に限定がついたり、ポイント数の制限に基づいたりする、というわけだな」

『その通りです』

 良い解答だったらしく、ポイントがまた増える。

「質問。私の場合、すばやくこの状況になれたが、他の候補者が存在した可能性がある。他の候補者に関する情報を閲覧することは可能か?」

『詳しい情報は無理ですが、書面でならば可能です』

「この世界に対してシステムが介入を決断した理由は?」

『人類種は介入が無い場合、所定の歴史を進み、最終的にはターンタイプにより原始時代に戻ります。その後、技術的優位にあるムーンレイスとの接触し、技術的向上を享受、旧世紀、数次の産業革命以上に産業は発展いたします。しかし、工業面での発達は精神面での発達を無し得ません。充分な時間、かつて中世期に経験した諸科学の発展経路を経なかった人類は、精神的にはかなり遅れたまま、宇宙に進出することになります。これは、システム的に種族の自滅傾向を増す以外の可能性を示さないため、修正を要すると判断しました』

「つまり、どのような産業的発展があろうと、人文・社会科学に対して注目を払わないため精神的発展が阻害されると。そしてそのような精神的発展無き発展は種族維持に悪影響であるというのだな」

『その通りです』

「しかし、ターンタイプによる原始時代化を経たとしても、人文諸科学の発展は可能では?」

『いいえ。技術的向上はマウンテンサイクルなどの発掘により進んでいますが、旧世紀、近代期人類の精神的発達の基礎である、人権概念が充分に発達しません。外宇宙に存する知性体との接触において、人権概念―――それに類する観念の発達は、銀河、超銀河的に種が拡散する際に必要となります』

「宇宙に存在する他の文明においても似たような考え方があると?君―――便宜的な言い方だが―――には、そのような認識や知識があると?」

『申し訳ありません。本システムに許された候補者に対する情報提供に関する制限条項に抵触します』

 ため息を吐く。どうやら、このシステムとやらは確かに、誰か―――『誰』という呼び方は正確ではないかもしれないが―――によるものらしい。

「了解した。では何故、ターンタイプによる原始時代化の時点ではなく、ここに私を送り込んだのか?―――大体答えの予想がついてきたが」

『システムは、精神科学の低廉化傾向が人類種に発生したのは』

 システムがそこまでコンソールに文字を映した段階で私はいった。

「宇宙世紀0079年に起こった一年戦争における、大量の一般市民の死亡」

『その通りです。なぜ候補者はそう判断しましたか?』

 面白い。システムという癖に質問をぶつけてきた。

「作品の歴史を見ても、極端な人口減少の主たる要因は一年戦争にあることは確かだ。それに一年戦争で戦死した人口を考えると、青年および壮年層のかなりの人口が減少しているだろうことが予測できる。また、一年戦争での連邦軍の受けた被害は、将校・下士官においてもっとも大きかったもの、と推測できる。まぁ、これはMSや航空機、艦船に配属される人員を考えると妥当な推測かもしれないが」

 システムは沈黙したまま。どうやら先を話せと促しているらしい。

「連邦軍がいくら巨大とはいっても、一週間戦争で死亡した人員で、恐らく数年分の正規将校・下士官を失っている。その損害を埋めた上にさらに巨大な艦隊戦力を一年戦争では構築し、それをソロモン、ア・バオア・クーで失い、戦後も0083年のコンペイトウ奇襲やグリプス戦役、ネオ・ジオン抗争で失い続けている。となると、将校に任用可能な知識階級に属する青壮年層が払拭した可能性があり、戦争さえ無ければ、その層が育成したであろう後発の人材が育たなくなった可能性につながるからだ。それに、システムを作成した存在は、少なくとも2045年当たりまでの人類の精神的発達は、許容範囲に収まるものと認識しているらしいね」

『理知的です。納得しました。後半の質問に関しては制限条項に抵触します。申し訳ありません』

 ポイント欄の数字が良い感じで増え、25万ポイントで止まった。どうやら、この考えはシステムを充分以上、納得させたらしい。

「そうなると、一年戦争での介入が基本となるし、基本、一年戦争での介入に基づき、グリプス戦役やネオジオン抗争を戦うことになる。しかし、ここで問題になるのが連邦政府の一部が起こしたラプラス事件だ」

 さらに切り込んでみる。最初に見た映像がリカルド・マーセナス次期連邦大統領の選挙戦のニュースだったことは偶然ではないし、一年戦争での介入を基本とするなら、どんなに早くても俺が送られるのは50年代のはずだ。宇宙世紀開始以前に送られる必要は無い。

「システムは、そこまで考えて私の転送をこの時代にセッティングしたと私は考えるのだが、いかがだろう?」

『正解です。あの事件の直接的影響は少ないものですが、今後100年の地球連邦政府―――少なくとも、宇宙に関する行政に強い影響力を持つ、連邦移民問題評議会の基本姿勢を固めた点は間違いありません。候補者がどのような行動をとるかは候補者の自由意志に属しますが、候補者が事件への介入を考慮する可能性を考え、このような設定としました』

「そこで質問。これまでの候補者に介入したものと介入しなかったものがいるならば、それらについてのデータがほしい」

『了解しました。先ほどの質問の答えにもありましたとおり、書面で提供いたします』

 そこまで考えたところで、時間を確認する。熱が入りすぎたようで、開始から2,3時間ほど経過しているようだ。そこで気づく。

「さらに質問。この初期設定に時間制限はあるか?」

『肯定。残り時間は16時間45分32秒です。表示しますか?』

 ほっとした。20時間の中で考えるらしい。この時間に関する質問で、ポイントはさらに上昇。どうやら、いわないままで時間きっかりに切るつもりだったらしい。シビアなことだ。質問を続ける。

「出現時期が宇宙世紀開始以前ということは、年齢に関する問題は?」

『初期設定として不老項目が既にあります。そのため、転送された段階でのあなたの年齢、地球時間換算で満28年4ヶ月23日のまま、基本的には推移します』

 確かにコンソールを確認すると、自分の写真の下に「不老」との表示がある。

「初期設定として私が持っているものはそれ以外にはどんなものがある?」

『当システムを収めるこの基地に対する命令権、基地の基本的保守に用いられるバイオロイド兵の生産・命令権、および、黒歴史に存在する全機械文明に関するデータです』

 なんというチート。苦笑した。となるとMSの開発に関しては問題がなさそうだ。いやいや、チェックは怠るべきではない。開発項目をチェックしていくと、どうやら、全データとはいいつつも、自由に投入できるのは宇宙世紀以外の作品に関するMSのみらしい。他のMSや技術に関しては、ポイントを消費した上で製造年代に達していなければならないらしい。解除にはポイントが必要。

 さらに気づく。宇宙世紀とくればビーム・爆発での即死がデフォルト。となれば、自分の設定についても確認しておかなければならない。

 自分に関する項目を開くと、結構すごいことになっている。不死を項目につける場合には15万ポイントの消費。死亡後1年での復活が5万ポイントを下限として、1日後まで累積で拡大する、と。さらに、MSの攻撃に対しての不死、などの限定項目が10万で、現在自分の持っている32万ポイントを考えると、出せない範囲ではない。ただ、ずっとこの外見で介入するわけにもいかないので、変装や年齢変更の項目を見ると、こちらも3万ポイントずつと割高だ。不死設定に年齢変更で18万は痛い。これについては、他の初期設定の余剰ポイントを当てはめるしかないか。

「連れて行く面子が問題だな」
 
 仲間・勢力の項目を見ると、宇宙世紀以外のガンダム登場人物が無条件選択可能で、強いキャラに分類される(たとえばドモン・カッシュなど)ものたちが、10000ポイントを上限として設定されている。これに、他作品のキャラクターを選択可能にすると5000ポイントごとに作品が拡張され、一人ずつにポイントを支払うようだ。

 意外に安いようにも思えるが、宇宙世紀のMSとたとえばコズミック・イラのMSでは操作系統が違う。コーディネイター専用OS下や、モビルトレースシステムでの運用から通常MSへの機種転換には、別途ポイントが必要になる。さらに、初期保有MSや艦船のことも考えると頭が痛い。また、自身でデザインしたキャラクターを生成することも可能だ。こちらは、生成時点で持つ能力や、成長性などの項目があり、項目ごとに設定する形になっている。

「この基地の使用権についてだが、詳しく」

『MSの生産ラインが現在4本、艦船のドックが8空いています。拡張にはRPを要します。RPは、この基地の外郭にある直径10km、深さ6kmのプラントへ、適当な小惑星や工業製品を安置していただければ、工業用ナノマシンにより分解、資源として備蓄されRPへ変換されます』

「資源収集については自動化は可能か?それに、基地の運用や保守に必要な人員についてはどうだ?」

『保守・運用に関する人員については、初期設定項目にあるバイオロイド兵に委任しています。候補者はプラントへ資源を供給する必要があります。資源収集に関しては、適当な宇宙用艦船をバイオロイドに委任することで自動化可能です。バイオロイドの増員に関しては、RPを要します』

 やはり、資源をもとにして動く以上、かなりのRPを介入が本格化する0079年、つまり85年後までに用意しておく必要があるらしい。これから宇宙開拓時代に入ることになれば、コロニー建設用の資材との競合を起こす可能性もある。

 あれから数時間、悩みながらポイントの配分を行ってみた。

 悩みに悩んだが、結局、一年戦争が始まるまでにMSを使用した本格的介入は不可能そうだという結論に達したので、MS開発に関する制限こそ取っ払ったが、初期戦力として保有するのはペガサス級強襲揚陸艦(グレイファントム・タイプ)1隻と、現在、地球連邦で運用されている共通規格の汎用宇宙輸送船を5隻と、資源回収用のモビルポッドとした。MSはポイントでいくらか取得作品の拡大を行ったが獲得はせず、『重装機兵ヴァルケン』よりパワードスーツ、『ハイッシャー』を12機、獲得した。基本、一年戦争が始まるまでは特殊部隊によるか、政治的介入が基本となると考えたので、MSは基本、不要だと思う。ハイッシャーは小銃弾程度しか弾けないし、武装も短砲身20mm機関砲だが、これから長く使うことになりそうだ。

 グレイファントムとハイッシャーで使ったポイント、26000。モビルポッドと輸送船で10000ポイント。資源回収を加速させたいが、まず基地機能の拡大が必要だろう。これから長い期間については、MSの必要性は薄い。小惑星やデプリ群を集め、RP化する作業が中心になるだろう。

 まだ満足な月面恒久都市も出来ていないこの時代、これから半世紀の時間を掛けて、月はおよそ30億の人口を養う、巨大な植民地になっていく。その月面開発計画にまぎれ、この基地の表面部を都市に偽装することまでは考えた。しかし、月面は制限が多いのでは、と思い立つ。

「月面は連邦から見られていることが多いと思うのだが、この基地そのものの場所を移動させることは可能か?たとえば、火星などに」

『可能です。現在の本基地をそのままポーテーションすることが出来ます。ただし、その場合、本基地が現在存在する月面極冠部には、巨大なクレーターが出来ますが』

「たとえば、火星の極冠に移動した場合は?」

『火星極冠部、同緯度同経度の地底には巨大なドライアイスの塊が存在します。基地機能維持にかなりの労力を必要としますが』

「火星の他の部分へのポーテーションは可能か?」

『可能ですが、さらにポイントを消費します』

「RPへの変換は、この基地内のプラントに物体を持ち込む必要があるのだな?」

『はい。ただし、基地機能の拡大をしていただければ、許容限度のある小プラントであれば、他の基地に構築することが可能です』

 仕方が無い。色々面倒臭いことになりそうだが、基地機能の拡大が出来るまでは、こそこそとはいまわるしかないわけか。この後、木星、金星、水星と土星についても確認したが、

 そこで、資源収集基地を火星の衛星、フォボスとダイモスに設けた。RPに換算するためにはこの基地まで運ぶ必要があるが、宇宙開拓時代を迎えるコレからを考えると、RP欲しさに小惑星を次々にナノマシン・プールに放り込むことは、月を監視する連邦政府の監視網を考えると難しいのではないかと思ったのだ。月が監視されている以上、派手な形で小惑星を持ってくると、政府側の疑念を呼ぶことになる。

 ナノマシンの解説の項目を良く見ていくと、ナノマシンは陽子クラスまで物体を分解した上で、RPか別の物質に変換する方式を取っているらしい。つまり、純然たる重さが重要なのだ。たとえば小惑星10tを放り込んだ場合、同重量の資源、もしくは同レートのRPに変換される。RP、ナノマシンはプラントによる管理を受けているらしいので、プラントの性能をRPやGPを消費してあげていくことで、効率が改善されるらしいこともわかった。

 そこまで考えてからはっとなったが、外側から見て難しいなら、内部拡張で搬出される土砂をプールに放り込むのも手だと考えた。それに、内部を拡張し、別クレーターなどと地下で連結させてしまえば、搬入した総量をごまかせる可能性もある。地軸点を中心にいくつかの恒久都市を連結させるタイプを模索するのも手だし、他の恒久都市開発の際に出た土砂を引き受けることで、RPを獲得できる可能性もある。

 火星基地の設営に50000ポイント。残り約24万ポイント……おかしいな、30万ポイントほどある。

「ポイントが上昇しているが、これは?」

『初期設定内での会話もポイント換算の対象です。これまでの方は、地球圏以外の場所というと、火星か木星にしか目を向けなかったものですが、候補者は他の太陽系天体への可能性を模索しました。また、小規模プラントの可能性について、前もって想定した方は少数です』

 どうやら、疑問はすべて口に出したほうが良いようだ。

 次に人員のチェック。基本的に呼んだキャラクターには基本項目として不老設定がつくとのこと。ただし、これについては候補者―――つまり私だ―――が判断を下した段階で加齢することも可能だという。よかった。どこの無双キャラを量産することになるかと思った。

 さて、宇宙世紀の人材が使えないとなれば他作品、つまり平成ガンダムのキャラクターがまず候補になるが、そこまで考えたところで頭を抱えた。
 平成ガンダム最大の特徴と私が思っている大問題。それは……


 『登場するキャラクターの能力とコミュニケーション能力が反比例しすぎている』


 たとえばGガンダム。主要キャラクター中、一番の常識人といえばレイン・ミカムラ嬢が思い浮かぶが、ライジングガンダムの操縦は別としても、一介のエンジニア・設計者にとどまる。特に彼女の場合、その技術はモビルトレースシステムを導入したMFだから、運用を考えた場合、KYで熱血で人の話しを聞かない(キャラクターとして見ている分には、島本キャラは本当に面白いが、付き合うとなると別だ)彼を使う必要が出る。

 システムによると、採用キャラクターは基本的に私に従ってくれるらしいが、『従う』ことが『理解した上で』、『いうことを聞』いてくれたり、『思った通りの行動』をするかどうかは別問題だ(そのことを指摘するとポイントになった。少し悲しくなった)。

 悩みに悩んだ挙句、まずカトル・ラバーバ・ウィナー氏を獲得。経済感覚に優れているし、ゲリラ戦の経験も豊富。小隊戦闘も(平成ガンダムのキャラクターにしては珍しく)上手いし、オプション項目の「ウィナー家」をオンにしたら、実際にアラブに富豪としてウィナー家が出現した。ちなみに某主人公や「ごひ」氏などに対する印象を口にしたところ、苦笑しながら同意してくれた。素晴しい少年だ。ポイントに余裕が出来たら、マグナアック隊を呼ぼう。彼には合計5000ポイント以上の価値が絶対にある。

 次に特殊部隊運用が基本となるので、5000ポイントで作品拡大を行い、総員合計25000ポイントを使用し、ホテル・モスクワのタイ支部遊撃隊と、の方々にお出で願った。原作でのバラライカ女史の状態が任務の際に問題になる可能性を考え、ポイントを別途消費してアフガンでイスラム過激派に捕虜となる前の段階まで肉体を戻したところ、本人含め遊撃隊全員に狂喜乱舞されてしまった。が、同時に護衛として呼び出していたロベルタ嬢と遭遇した瞬間にCQCを始めていた。

 と、ここまでは順調だったが、やはりMSパイロットが悩みだな……カトル氏はMSよりも経済面で役に立ってくれそうだし……


―――――――――――――――――――――――
 何かが降りてきたのでここまで書いてみました。どこかで見たような感じですが……どうしましょう




[22507] 第02話
Name: Graf◆36dfa97e ID:00f883d5
Date: 2010/10/16 04:40


 MSパイロットについて悩むが、結論が出ない。キラ・ヤマトやアスラン・ザラのようなキャラクターは確かに欲しいところだが、基本的に従ってくれるとはいえ、彼ら自身が問題だと私は考えている。

 先ほどの話にも出ていたが、所謂黒歴史にコズミック・イラが含まれ、話の流れ上、文系科学の崩壊後になるらしいコズミック・イラ世界を考えると、彼ら自身の精神的成長を考えなければならない。はっきりいって、彼らの精神的成長の度合いは、いいところ工業専門学校生というものでしかないし、そもそも原作も、16歳で戦争に放り込まれている。彼ら自身に罪はないが、精神的に幼いのだ。

 だからといってあの世界では大人の方にも問題がありすぎる。ウズミ・アスハなど、娘の言を世間知らずと斬り捨てておきながら、理想と共に焼死した。別に自殺するなら勝手にしろといいたいが、国と国民全体を巻き込んでいる点は為政者失格といわざるを得ない。むしろ、連合に属しつつもオーブ独自の政策を模索すべきだったのではなかろうか。

 そこまで考えて、能力や成長性に問題がないなら、単に呼び出すだけではなく、彼らに学習する時間を与えた方が良いのではないかと考えた。その疑問をぶつけてみる。

『採用されたキャラクターの能力拡張はポイント消費で可能になります。その場合、現在表示されているリストでは、採用されたキャラクターの、そもそもの能力で区分していますので1万ポイントが上限として設定されていますが、成長の可能性を付与すると、最大3倍になりますが、宜しいでしょうか?』

 なるほど、元のキャラクターの能力が高いのであれば、成長することまで含んでしまえば、85年という時間で超級チート電影弾な存在になってしまう。現在、カトル氏にウィナー家などを込みで15000、ラグーンの方々に30000だから、これが3倍となると135000まで拡大する。これは痛い。だが、別世界からチートキャラを呼び込むのだし、これからポイントを獲得していくとなると、このレートはある意味納得できる。

 ……Spを残して必要に応じて呼び込むとかできないだろうか。

「質問だが、SPを残した場合はどうなる?」

『SPは自動的にGPに1:1で換算されます。但し、GP、RPはレート変動の可能性があります』

 3倍にまでポイントが高まるが、レートの変動まで考えるとなるとまだSPの方がいいということになる、か。残りポイントはここまでの会話によるポイント獲得も含め270000ほど、カトル氏などに成長性を付与すれば、元ポイントの45000にプラスして9万必要になるから、実質残りは18万、か。

 カトルの経済観念も棄てがたいし、ラグーンの方々には大活躍してもらいたいので躊躇無く成長性を付与し、9万ポイントを消費。技術情報と採用作品を見直し、ブラスレイターを選択。さすがにラグーンの方々でも銃弾が当たれば危ない。仮面ライダーも考えたが、御丁寧なことに一シリーズごとにポイントが必要なので選択肢には入れなかった。リアルバイオハザードやるならそれもアリなのかもしれないが。ああ……でも伊丹刑事のアポロガイストは結構好きだったんだがなぁ……

 ナノマシンには、作品ごとの機能を追加設定出来るらしいので、ブラスレイター生産技術はこれからのMSにも役立ってくれるだろう。NT-Dとか使いたい。

 そこまで考えたところで思いついた。MSの巨大化・高機能化が頭打ちになり、F-91あたりでダウンサイジングしたのは、現実世界ではプラモメーカーの思惑だったが、機体が巨大になりすぎると慣性の問題で搭乗者にかかるGの負担が大きくなることが最大の理由だ。逆に考えれば、Gの問題をどうにかしてしまえば、強化人間相手でさえ無双が可能ということになる。サイコミュを採用したのも、機体の追従性を上げる以外に、人間そのままの動きをさせることで、Gの負荷を人間が受けやすいものに変えるという意味合いもある。搭乗者の肉体強化を薬物に頼らないで行えるというのは有難い。

 となると、内政チートが主となるだろう行動の初期段階では、それこそ却ってガンダム以外の人物の方が役に立つかもしれないし、基本戦争は数の暴力の世界だから、無双を実現させるのは戦争が始まってからでも遅くないし、むしろ独自の戦力の構築と、単機平均の能力向上の方がいいか。

 ある程度の結論が出たのでブラスレイターよりヘルマン、ゲルト、マレクの三名を採用。成長性を付与し、特にゲルトについては他者がデモニアックに見えるナノマシンの不備を解除した。これで6万。

 MSパイロットについてはSEEDよりアストレイ三人娘を、また00より初代ロックオン氏を採用。グレイファントムの艦長としてナタル・バジルールを採用した。成長性をプラスして合計10万。

 残った5万ポイント(会話でまた増えていた)を肉体年齢変更の機能と作品の拡大、技術情報に用い、準備は整った。


 それでは、介入を始めて行こう。



 第02話:ラプラスの匣



 2046年1月1日。正式に宇宙世紀0001年となるこの日、以前からの予定通り、眼下に広がるスタンフォード・トーラス型コロニー、ラプラスにて、地球連邦首相リカルド・マーセナスの演説が始まろうとしていた。

 そのラプラスを照らす2枚の凹面鏡の内、天頂方向にあるその一枚に、静かに近づく宇宙作業艇があった。

「OKです、艇長。予定通り、周囲の警備艇は俺らをGEの社員と思ってます」

 野卑なラテン系の男は、宇宙服に包まれた手を動かし、了解のサインを送った。予定通りだ。あとは凹面鏡のコントロールセンターに、このプログラムをインストー……

 そこまで考えたところで作業艇が大きく揺れた。

「な、どうした!?」

『わかりません!何かに押さえつけられたようで……なんだこれ!ギャ……』

 叫び声と共にくぐもった音が生じたかと思えば、同時に響く破砕音。何かわからないが、予定外の事態のようだ。

「クソ、ばれた!?誰でも良い!各自、プラグラムの入ったMOを持って船外に出ろ!たどり着いた奴がプログラムを……」

 そこまでしゃべった瞬間、作業員用の出入口が―――それを保持する鋼材の側で連続した爆発が生じた。扉がゆっくりと動く。既に室内が真空のため、空気が外に漏れ出るような事態は起こらない。

「な、な……」

 鋼材がゆっくりと上に動く。不自然な動き。どうやら、突入をしようとしているらしい。

「構えろ!撃つと同時に外に出る!サイアム、ジョスト、裏に回れ!カールとホセは船底から出ろ!」

 リーダーと思しき人物は、宇宙用の無反動機関銃の銃口を扉に向け、やけに大きな宇宙服らしきものの腹が見えた段階で射撃を開始した。

 高音が響き、跳弾が発生。跳弾は船内の鋼材に跳ね返り一人を殺す。

「銃が……なんだあれは!?」

 ようやく退かされた扉の向こうには、3mほどの鋼鉄の人形がいる。そいつがゆっくりと腕についた銃らしきものを向け……

 撃った。




 サイアム・カラスは17歳だった。出身は旧ヨルダン・ハシュミテ王国。現在は中東連合となっている地だ。地球連邦が成立し、エネルギーの調達先を核融合発電と太陽光発電に切り替えると、中東の石油資源は内燃機関用の燃料以外の役割を持たなくなった。

 2030年代初頭に、安価な電気自動車が整備され、バッテリー技術の革新が始まる。そして止めを刺したのが、月面極冠部に大採掘基地を構える日系企業グラン・パシフィック社だ(日本名、太洋重工グループ)。月面から産出された新資源、『動力鉱石』を一手に賄うこの企業は、大型化が不可能なこの鉱石エンジンを以て自動車産業に乗り込んだ。大型化が不可能で、軍用、船舶用エンジンこそ作られていないが、電気自動車の普及に大きな役割を果たした。

 それはいい。問題は、船舶用、航空機用しか需要が無くなった石油資源が、中東に恐ろしい勢いで不況をもたらしたことだ。その上、同時並行で進んだメタンの燃料化が、その残されたシェアさえも現在進行形で食いつぶしており、石油中心のモノカルチャー経済だったこの地域の貧困化を進めてしまったことだ。

 20世紀より続く、石油依存の体制が覆されたことは、産油国の政治的地位を押し下げた。他にも色々な理由があるが、サイアムがここでテロリストの仲間入りを果たしていたのは、その不況が理由で家族を養えなくなったからだ。

 楽な仕事。

 ディスク一枚を、秘密裏にコンピューターに差し込むだけ。

 シャトルに乗って、作業艇に乗って、10分ぐらいの宇宙遊泳。

 そんな言葉に乗せられて来た場所は、今、マズルフラッシュのクラッカーで祝われるパーティー会場となった。

「サイアム、先に行け!俺が援護する」

 ジョスト。いやな男だ。ガラス越しの顔は震えている。恐らく、自分をおとりにするつもり。ため息を吐いたサイアムは、ジョストをつかむと船底にある出入り口から放り投げた。

 無音。だが、ジョストの宇宙服の胸にコイン大の穴が空き、赤黒い液体と白っぽい何かを吐き出し、慣性に従って地球の方へ向かっていく。サイアムはそちらに顔を向けていたが、ジョストの体には目が向いていなかった。地球。青い星。美しかった。何か別のモノ、宇宙飛ぶ巨人が見えたような気がしたかと思った瞬間、体を強く引き上げられた。

『サイアムとやらはお前か』

 振動音声か接触回線かはわからないが、目の前の鉄板―――パワードスーツ『ハイッシャー』―――からの声にサイアムはうなずいた。

「そうだ……アンタらは……」

『持って行け』

 コンテナを押し付けられ、宇宙服とワイヤーで結ばれたかと思った瞬間、そのまま地球とは逆方向に投げられた。




『終わったよ』

 サラミス級宇宙警備艇のブリッジで、推移を見守っていたところに通信が入った。

「ありがとう、ミス」

『その呼び方はやめな、といったろう?』

 じとり、といやな汗が伝う。後ろに宇宙服を着ずにメイド服で立つロベルタ嬢の反応が怖い。

「ありがとうございます、ソフィーヤ・イリノスカヤ」

『駄目だ』

 ああ、声が怖い。怒りつつある。ブリッジ要員としての訓練を受け、コンソールを操作していたはずの遊撃隊の方々が何かを期待する目で私を見ている。ブロックサインでさっさと要求どおりにしてくれと訴えかけている。助けを求めるようにセカンドチームを率いて待機していたボリス軍曹の方を見ると、沈痛な面持ちで顔を振った。君たち、そんな厳つい顔をしているんだからもうちょっと……

『トーニェィ……早く』

 トーニェィ。私の名前はトオルなのだが。伝えた瞬間、トーリーと呼び始め、愛称としてトーニェィとなった。ロシア語はわからない。 

「ありがとう、ソフィー姉さん」

『オーチン・ハラショー。ポイントたまったんだろう?帰ったらボリスの件、考えておいてくれよ』

 横を振り向く。こんなテロを防ぐことに何の意味があるかと問われたときに、ポイント制の話をうっかり漏らしてしまったのだ。まだ彼女一人でとどまっているが。最初に切り出されたのが、彼女の忠実な副官、ボリス軍曹を入隊時の姿に戻すこと―――うん、彼女は絶対にショタコンの気がある。年齢変更機能の話しをしたら10代に戻ってみろとか要求されたし。

「本人の同意が絶対条件です。考慮はします」

『説得は任しときな』

 ボリス軍曹が嫌そうな顔をしてこちらを見ているが、知ったことではなかった。モニターの表示を式典会場へ切り替える。







 マーセナス首相の演説は佳境に入っていた。ここはアメリカ州ニューヨーク市にある旧国連本部ビル。マーセナス内閣の閣僚が忙しく、宇宙への引越し準備を進める中、息子にして2期目の内閣では副首相を勤めるジョルジュ・マーセナスがモニターを見つめていた。

「何をしている、何故何もおきない……」

 押し殺した声は室内で忙しく動く職員たちには届いていないようだ。もし届いたとしても何を行っているかわからなかったろう。それに、意味が理解できたとしても信じられるかが微妙だ。

 息子が父の命を狙うなど、そもそも考えもしないからだ。

 それに、少なくともジョルジュ・マーセナスは表面上、父を助け、将来を嘱望される政治家だった。正義感にあふれ、しかし、父ほどリベラルではなく、どちらかというと保守的で、革新的な成果こそ残さないが、堅実な手腕を振るうと評されていた。

 しかし、その保守性こそが問題だった。

 どこをどう繕っても、現在、移民問題評議会が行おうとしている宇宙移民計画は、棄民政策以外の何物でも無いからだ。

 確かに地球に居住する人口が80億になんなんとしている現在、地球上では中国、インド、アフリカという人口爆発の温床をどうにかしなくてはならなかった。特に、独裁政権続きで統制経済を敷いていた中国は、連邦発足と共に組み入れられた変動相場制で経済の大混乱を引き起こしている。人口を現在の26億から最低限20億、宇宙に移し、生活の場を整える必要がある。

 問題は、そうした発展途上国出身者に、先進国が営々と築いてきた地球連邦という国家への参画を、全面的に認めて良いかという点だ。

 人は決して平等ではない。他より先に工業化を果たした国家群として、先進国はその経済力の多くを、発展途上国への援助と、途上国が無計画に行う工業化による環境汚染対策に費やしてきた。今回の宇宙移民政策も、このまま地球に納まっていたのでは大規模な虐殺か戦争以外に選択肢が無いからだ。

 無計画に人口を増やし、食糧問題を発生させた上に解決能力もなし。それなのに虐殺も戦争も無しに新しい生きる大地を与え、生活の場を整えるというのに、無条件で参画まで認めるという。それにくわえて、新しい生物学的なんとやらが生じた場合には、優先的に権利を譲るというのだ。

 噴飯物も良いところだった。これまでとこれからの経済力はまだ良い。一見無駄に思えても、資本の循環は新たな利益を生み出すからだ。だが、何の義務も果たしていないのに無条件で参政権を与えるだけでも腹立たしいのに、何の評価基準もない「新人類」とやらが生まれれば築いてきたものさえ差し出せと父はいう。



 ジョルジュ・マーセナスは決して無能ではない。むしろ有能だった。但し、父親ほど人間に対する信頼は無い。そしてそれは政治家には必須の条件だった。

 式典のクライマックス、連邦憲章を刻印した巨石のお披露目だ。もう駄目だ、終わりだ。計画は失敗したのだ。クソ、こんな演説さえなければ、閣内をまとめて絶対にあんな条項をいれることなど認めないのに。

 そして序幕された時、彼は別の意味で驚くこととなる。




 この日、地球連邦憲章が公布された。

 問題となる条項、連邦憲章第7章、第15条には以下の様に記されている。

「第七章
  地球連邦政府は、大きな期待と希望を込めて、人類の未来のため、以下の項目を準備することとする。

  第十五条
  一、地球圏外の緊急事態に備え、地球連邦政府は研究と準備を拡充するものとする。
  二、軌道植民地、天体植民地は各行政区分の人口が一定段階に達した段階で、連邦議会への代議員派遣権を得る」

 2048年、リカルド・マーセナス内閣が、二期目の任期を終える際、建設する軌道植民地の名称を「サイド」とし、各サイドの人口が5億を突破した段階で、1億あたり1名の代議員を連邦議会下院に派遣するもの、と定められた。また、月面など(まだこの段階では月面しか想定されていないが)の恒久都市の場合は、一市または複数市で構成される行政区の人口が1億を越した時点で、5000万人につき1名を上院に派遣するものと定められた。

 歴史はこれを、リカルド・マーセナスの偉大な業績として記している。





 問題なくラプラスの箱の入れ替えは終わったようだ。ほっと胸をなでおろす。しかし、これは驚きだった。
 小説ガンダムユニコーンの中では父親を殺し、それをマーセナスの家系が持つ罪として描いていたが、内側を見てみれば却って、ジョルジュの言い分が理に適っているのだ。

 法律の制定は、立法権を持った―――法律で与えられているものが行う必要がある。これが大原則だ。憲章のような理想でも、それが独善で成されたものであれば、後の時代には悪影響しか与えない。ラプラスの箱の最大の問題点は、記された内容でも、公開されなかった希望でもない。立法権限のないものが、適正な法的手続きを踏まずに法律に類するものを作成し、それを理想と共に公表しようとした上に、記された文言が抽象極まりないものであることなのだ。


 ニュータイプが出てきました。オールドタイプは政治的な権利が制限されます。文句は許しません。でも誰をニュータイプとするかの基準については知りません。てへ。自己申告?自称?なんでもOKです。


 ラプラスの箱が言う内容は結局これに尽きる。『善人ほど馬鹿を見る』の典型例だ。絶対にこういうことを言い出す奴がいる。

「お前はオールド、俺はニュー!」

 素晴しい。レイシズムはヒトラーで懲りていると思うのだが。ジョルジュ・マーセナスが新しいレイシズムの温床となりかねない思想を危険視するのも当然だろう。
 それに、これを閣議も通さず、演説の場で強行しようというなら、リカルド・マーセナスは死を持ってそれを購うべきだ、という論理に問題はない。それに、続く分離主義者との戦争は結局は連邦政府を一枚岩にまとめる結果となった。悪い結果ではないし、スペースコロニーなどという巨大な建築物を数百も宇宙に浮かべるなら、絶対に必要だ。


 夢見がちで馬鹿で考え無しで放蕩を尽くす父親の面倒を見るのに疲れ果てた息子が父親を殺傷。


 どこかの新聞の三面記事でも飾りそうな事件を宇宙規模に拡大するとこうなった。ただそれだけの話だった。
 

 今回の事件、サイアム・カラス―――後のサイアム・ビストにはラプラスの箱の原本(もう意味はほとんど無くなってしまったが)と、ジョルジュ・マーセナスの作った暗殺計画を立証する書類をプレゼントしておいた。ここまでやってやれば原作どおり、ビスト財団とアナハイムを作ってくれるだろう。

 地球圏を引っ張る経済的な力は、強く、そして多くあれば良いと私は思っている。

 原作を見ると、基本的にZ以降、MSを作っている企業はアナハイムだけ。戦争があり、効率的な経済体制として、軍需を独占させたというのはわかるが、それが肥大化して企業独裁ともいえる体制になるのは問題だ。0096年に、連邦政府相手にして甥っ子に手を出す趣味の悪いババアがコロニーレーザーをハッピートリガーでぶっ放せたのも、箱の力だけではないのだ。諸産業を一社に独占され支配された最終形態なのだ。

 となれば、アメリカが大好きで戦争を以てしても世界に広めんとしている自由主義経済こそ対策になるだろう。

 ライバル企業がいなければ、サービスは向上しないのだ。

 ということでこの6年、RP獲得にいそしみ、得た資源をポイント化するだけではなく資源としても売り飛ばし、『重装機兵ヴァルケン』に関する技術をオンにしたことで月の地下に発生した『動力鉱石』を用いて自動車産業になぐりこんでみました。

 いやぁ、自動車って儲かりますね。系列企業が労せず出来るし。うちの会社―――日系企業太洋重工ことGP社はエンジンのみ供給してますが、それだけでもあっという間にでかくなることが出来ました。カトル君、あなた凄過ぎです。

 勿論、降って湧いたような新しい資源に皆様興味津々ですが、月面極冠部の開発基地『N1』は5.45mm弾が何故か大好きな遊撃隊の皆様に守られ無事です。パワードスーツ隊も頑張ってくれていますし、政治的にもRPをGP変換して獲得した新キャラクターにして現在、連邦下院議員一期目を勤めていただいていますアイリーン・カナーバ閣下が大活躍。新党結成まで行くのかな?

 ……いや説得大変でしたよ?不老項目に加齢設定くわえる際に、プライベートでの年齢コントロールを要求されたり、コントロール権について交渉までしてくるんですから。やはり女性なので適当な時間をおいて老化と若化を行うことに(ポイント余分に必要でした)。

 ただ、思ったより戦力の拡張が難しいのが難点。RPの変換レートが高いのだ。キャラクターを成長性込みまで含んで獲得すると最大3万ポイントかかるし、MSの場合、黒歴史上の実機を呼び出すにも高いポイントがかかる。その上、新技術を盛り込もうとすると追加でポイントが発生するのだ。勿論、実用化を早めようと考えた場合にもポイントは必要になる。

 現在のレートは100tで1Rp。10Rpで1Gpだから、30000GPで新キャラにお出で願うには、3000万トンのリソースが必要……確かに、GP狙いで歴史変更掛けた方が有利だな。このレートが決して不利なものではないこともわかっているのだ。直径5km程度の小惑星で、質量は120億tにもなる。小惑星1個で12億RPになるわけだから。

 くそぅ、ここまで月という立地条件が問題になるとは……。火星の基地でも地下採掘の分しかポイント化出来ない限定がついているし……いや、急ぐのは禁物だ。みみっちく元素変換で稼ごう。大企業になれば「火星基地建設!」とか無理も無いし。

 ただ、技術革新の項目にワープ技術などの項目があったので、後々、どうにかなりそうなのが救いだが……


 
 ------------------------

 とりあえず続きをでっち上げてみました。




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.427420854568