シングルス準々決勝でサマンサ・ストーサーを破り、準決勝に進出した伊達公子=大阪市靱テニスセンター
「テニス・HPジャパン女子OP第5日」(15日、大阪市靭テニスセンター)
シングルス準々決勝でクルム伊達公子(40)=エステティックTBC=が、2連覇を狙う第1シードで世界8位のサマンサ・ストーサー(26)=オーストラリア=に5‐7、6‐3、7‐6で競り勝ち、準決勝に進出した。女子ツアー年長優勝記録の39歳7カ月の更新まで、あと2勝とした。
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クルム伊達が壁を乗り越えた。第3セット、6‐6からのタイブレーク。ストーサーの打ち返した球がラインを越えて勝利が決まると観客の大きな拍手に包まれた。
「準々決勝で勝ち切れたのは大きなステップ」。今季はツアーのシングルスで準決勝以上に進んだことがなかった。疲労のたまるシーズン終盤に第1シードの強豪を倒したことに納得の表情だ。
相手の大きく跳ねるサーブにてこずって第1セットは落とした。しかし、ここからが経験豊富なベテランの真骨頂だった。鋭い洞察力で相手のサーブ時に「トスの位置でコースとかを読めるようになった」。低く、弾まない球を速いタイミングで打ち返すことで相手にペースをつかませず、フルセットに持ち込んだ。
勝ち抜くことの難しさを誰よりも理解している40歳は「ここで終わるわけじゃない。勝ったことに喜んでいる暇はない」と気を引き締める。「けがにつながる不安要素はないけど、早くケアしないと。どこまで回復しているか朝起きてみないと分からない」と体力面だけが課題だ。
昨秋の韓国オープン以来のツアー制覇、そして39歳7カ月の女子ツアー最年長優勝記録更新を目指し、クルム伊達の快進撃は止まらない。
(2010年10月15日)