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【プロ野球】

和田13K完投 ソフトバンク2勝1敗

2010年10月16日 紙面から

ソフトバンク−ロッテ 13奪三振で完投勝利を決め、ガッツポーズをする和田=ヤフードームで(式町要撮影)

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◆ソフトバンク3−1ロッテ

 日本シリーズ出場権を争うパ・リーグのCSファイナルステージ(6試合制)は15日、第2戦がヤフードームで行われ、ソフトバンクが3−1でロッテに勝ち、リーグ優勝チームに与えられる1勝のアドバンテージを含めた対戦成績を2勝1敗とした。ソフトバンクは和田毅投手(29)が13三振を奪い、2安打1失点で完投。ロッテは清田育宏外野手(24)の本塁打による1点だけに終わった。

 ラストイニングに向かう和田の背を、歓声と拍手が追いかけた。「鳥肌が立ちました」。誰にも譲らず、死守してきたマウンド。無形のパワーを注入された左腕に怖いものはない。勝利の瞬間も、当たり前のように立っていた。西岡から始まったロッテの攻撃を5球で終わらせた。プレーオフを通じて3戦未勝利だったCSで初めて見せた笑顔。1勝のアドバンテージと合わせて2勝1敗と先行した。

 鋼の心は揺るがなかった。伏兵・清田にソロを浴びた初回。16本のファウルを打たれるなど39球を費やした。それでも自分の生命線を信じた。「真っすぐはいい感じだったから」。3アウトはすべて見逃しの三振だった。「何とか初回を乗り切ろうと、自然とひじが入りすぎていた」。修正した3回以降は完全投球。CS用に準備したカットボールも使うことはなかった。08年にダルビッシュがマークしたポストシーズン記録の14奪三振に迫る13奪三振。マリンガン打線に付け入るスキを与えなかった。

 新人の03年から5年連続で続けた2ケタ勝利が途切れた2008年は8勝、左ひじを痛めた09年は4勝。通算の勝ち星でも杉内に抜かれた。「周りからは『和田毅は終わった』と思われていただろう。だから見返したかった」。スムーズな体重移動から最大の武器でもある真っすぐを磨き直すため、股(こ)関節回りを鍛えた。ただ、和田が本当に取り戻したかったのは背中の「誇り」だったかもしれない。

 早大時代は藤井(巨人)から継承し、左のエースナンバーと呼ばれた「18」を背負った。だが、プロ入りと同時に決別。「大輔(松坂)が18をつけていたということもあるけど、一番は21世紀のエースを目指すという思いを込めた。21といえば和田、と呼ばれたかった」。原点回帰の今季は自ら「21勝」を掲げ、シーズン17個の白星を積み上げる原動力になった。

 初戦で唇をかみしめたライバルの悔しさも晴らした。「スギ(杉内)でやられて、成瀬に完投を許した。絶対に完投して、スギの借りを返そうと」。首脳陣からは終盤2度にわたって交代の打診も受けたが、降りる気はなかった。チームに息吹を吹き込んだ134球の完投返し。不屈の男が今度、鳥肌を立てるのは頂上決戦のマウンドだ。 (西口憲一)

 

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