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布川事件:ドキュメンタリー映画が完成 9日から試写会

 茨城県利根町布川(ふかわ)で67年に起きた強盗殺人・布川事件で再審公判中の2人を追ったドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」の試写会が9日から東京都内である。桜井昌司さん(63)と杉山卓男さん(64)の仮釈放から14年間、渋谷区のフリー映像ディレクター、井手洋子さん(55)が撮影を続けてきた。井手さんは「2人を通して冤罪(えんざい)を身近な問題に感じてほしい」と話す。

 井手さんはドキュメンタリー映像や企業PRビデオの制作を手掛けるディレクター。無期懲役刑が確定し無罪を訴える2人が「どういう人生を歩むか」と関心を覚え、96年11月の仮釈放から撮り始めた。

 29年ぶりに社会に出て、テレホンカードの使い方にとまどい仕事が見つからず「刑務所の方が精神的に楽だった」とつぶやく杉山さん。久しぶりに利根町に戻り、ぼろぼろになった実家を見て、肩を落とす桜井さん。2人の葛藤(かっとう)を記録しながら、井手さんは「2人は決してあきらめなかった。バイタリティーがあると感じた」という。

 「無罪になる日が来るまで」と撮りためた映像は250時間分。再審開始を認めた08年7月の東京高裁決定を機に158分の作品に編集した。前半は仮釈放から生活を立て直すまで、後半は裁判の行方を中心にまとめた。桜井さんは「いかに困難を乗り越えて再審にこぎつけたか分かる映画なので、若い人に見てほしい」と話す。

 試写会は▽9日午後6時、東京都港区芝5の港勤労福祉会館で1000円▽16日午後1時半、同区芝浦3の田町交通ビル6階大ホールで1200円。問い合わせは上映委員会(03・6273・2324)。【原田啓之】

毎日新聞 2010年10月5日 18時43分

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