知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた直後に死亡した問題で、県警巡査長、松雪大地被告(30)が特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われた審判。4日の第4回公判では、現場を通り掛かった男性警察官への被告弁護側による証人尋問が続いた。
【現場到着後】
弁護士 安永さんの頭の向きは。
証人 頭は、歩道橋の階段側の方へ。
弁護士 体勢は。
証人 うつぶせになっていた。
弁護士 警察官の位置は。
証人 右手側に若い警察官が、左手側に(被告に同行の)警察官がいた。
弁護士 若い警察官が当時、誰か分からなかったか。
証人 はい。
弁護士 なぜ。
証人 何があったかを(被告に同行の)警察官にたずね、顔を確認するよりも先にすることがあるし、聞いていない。
弁護士 安永さんと警察官以外に現場にいた人は。
証人 歩道の端にヘルメットをかぶった男性はいた。
弁護士 あなたは足元に行ったか。
証人 はい。
弁護士 警察官は。
証人 若い警察官は中腰の姿勢。(被告に同行の)警察官も左側にかがんで中腰の姿勢だった。
弁護士 安永さんはどんな姿勢か。
証人 上体を左右に上げるように(被告に同行の)警察官につばを吐きかけたり、両足をバタバタさせ、意味不明な奇声を上げていた。
弁護士 安永さんの腕の動きは。
証人 右手側に、肩を左右に上げ、(被告に同行の)警察官は左側を押さえる。
弁護士 手錠は見ていないか。
証人 私が足元に行った時、左手は見えたけど、掛かっていなかった。右手は被告の体で見えず、掛かっているとも聞いていないので知らなかった。
弁護士 (被告に同行の)警察官の様子は。
証人 ぜーぜー、はーはー肩で息をしながら、精いっぱいで「ロクマル。暴れて困っている」と伝えていた。
弁護士 どう答えたか。
証人 (応援で)呼ばれて来たわけではないので、応援呼んだのか、とか。
弁護士 その時、「呼んだか」ということについては。
証人 「呼んでいる」と。息せき切っていた。
弁護士 それからどうした。
証人 (安永さんが)暴れ、腕を跳ね上げ、首振ってつばを飛ばし、意味の分からない奇声を発していたので、精神錯乱者と判断した。私は右ふくらはぎに片ひざを乗せて右足を押さえた。手は左足を、自分の右足を安永さんの右ふくらはぎに乗せて押さえようとした。
弁護士 左足は手でか。
証人 はい。
弁護士 安永さんを押さえてから(被告に同行の)警察官はどんな無線のやりとりを?
証人 多分、署から詳細を尋ねられていた。何度も無線が入った。
弁護士 (被告に同行の警察官の)その時の体勢は。
証人 足で腕を押さえる感じで。
弁護士 腰曲がってくの字の前傾姿勢か。
証人 はい。
弁護士 足で手を押さえていたのか。
証人 はい。足で手を。=つづく
毎日新聞 2010年10月14日 地方版