【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)が監査法人に対する規制を強化する。監査法人と顧客企業とのなれ合いを防ぐため、企業に担当監査法人の定期的な変更の義務付けを検討する。登録した監査法人や会計士が域内で自由に活動できる「パスポート」も導入する。四大監査法人の寡占状態にある監査市場の競争を促し、企業や銀行の財務内容を厳しく点検することで金融危機の再発防止につなげる狙いだ。
EUの執行機関である欧州委員会は域内の企業などを対象とした意見聴取を始めており、2011年に監査法人改革法案をまとめ、加盟国政府や欧州議会との調整に入る。域内市場・サービス担当のバルニエ欧州委員は「金融危機は監査の欠陥を露呈させた。いかなるテーマもタブー視しない」との姿勢を示した。
欧州委が検討しているのは、一定期間後に担当監査法人を変更する「交代制」の義務づけ。日本では主任会計士が同じ企業を担当する期間を5年と定めている。これに対し欧州委は、企業の財務諸表の適正な評価には、監査法人の独立性を高め担当企業との間で緊張感を保つ必要があり、監査法人そのものを変更すべきだと判断した。
特に大企業や巨大な金融機関については、例外的に監査法人を監督する金融当局が担当法人を指名する案も選択肢として示した。このほか▽監査法人が監査先の企業を対象に、コンサルティングなど監査以外のサービスの提供を禁止▽監査報酬の上限設定――なども検討課題に挙げた。
日本の企業や金融機関の現地法人もこうした制度の対象となる可能性もある。ただ、対象が上場企業に限られるのか、資本金などの条件が付されるのかは現時点では明らかになっていない。
さらに、プライスウォーターハウスクーパース、アーンスト・アンド・ヤング、KPMG、デロイト・トウシュ・トーマツの大手4法人が「欧州企業の約70%、英国企業の99%」(バルニエ委員)の監査業務を手掛ける寡占状態の改善にも取り組む。
監査法人や会計士がある加盟国で登録すれば、所在地や出身国にかかわらず域内で自由に業務ができる監査業務の「パスポート」を導入するほか、大手と中小が共同で監査に当たる「共同監査」案も浮上している。中小の監査法人や会計士らの活動を活発化させることで監査市場での競争を促し、域内の監査能力を向上させるとともに、大手法人の破綻といった不測の事態にも備える。
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