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【長野】

県内に大きな波紋 リニアCルート決着見通し

2010年10月15日

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◆「現実味帯びた」飯田商議所

 リニア中央新幹線のルート問題が、JR東海が主張する南アルプスを貫通する直線の「Cルート」で事実上決着する見通しになったことに、県内では大きな波紋を広げた。直線ルートにかかる飯田地域は歓迎の姿勢がにじみ「県全体にメリットが出るように」などと今後に目を向けた受け止めが聞かれる一方、南アを迂回(うかい)する「Bルート」を求める諏訪や伊那地域などは「地方切り捨て」などと批判。県内では県が主導し、長くBルートを求めてきた経緯があり、これからもさまざまな動きが出そうだ。

 【飯田地域】

 「現実味を帯びてきた。これからの方が大変だ」。飯田商工会議所の宮島八束会頭はCルートでの事実上の決着見通しを歓迎。その上で「県内の他地域とも連携し、全体にメリットが出るようにしていければいい」と語り、今後は「リニア効果」が県全体に波及する取り組みの必要性を強調した。

 中間駅問題では、飯田駅設置を前提に「地域の負担を軽減する活動は必要だが、募金活動など最大限の努力をする。県にも協力を求めていく」。

 静岡、愛知などの三遠南信地域の活性化も視野に入れ「全体でどういう地域にしていくのかを真剣に取り組まないといけない」と話した。

 飯田市の牧野光朗市長は「正式な報告が行われるまではコメントを差し控えたい」と話し、20日にも開かれる国土交通省の交通政策審議会の動きを見極めていく姿勢を強調した。

◆「B」あきらめず 伊那市長

 【諏訪、伊那、松本地域】

 諏訪地区の期成同盟会長を務める山田勝文諏訪市長は「今はコメントのしようがない」、伊那地区の同会長・白鳥孝伊那市長も「まだ決定されたわけではない」との立場だ。

 白鳥市長は「経済効果の点からの判断のようだが、大都市間を結ぶだけではますます地方切り捨て。Bルートは議論を重ねた県の総意で、国や県、地域の利益からしても同ルートが望ましい」と述べ、引き続きBルート実現を求める姿勢だ。

 諏訪地区商工団体リニア駅建設促進同盟会の井口恒雄副会長は「Bルートを強く期待している。最後の最後まであきらめずにお願いしていく」。

 「非常に残念だ」と語ったのは松本商工会議所の井上保会頭。「当初の計画ではBルートしかなかった。松本の経済界は今も同じ気持ちで、ああそうですか、というわけにはいかない」と粘り強く要請を続ける構えだ。

◆支持ルート述べず 知事

 【今後の動き】

 木曽谷を通る「Aルート」を含む3案が検討されてきたルート問題。20日にも開く交通政策審議会で、費用対効果などでCルートを優位とする試算が報告される見通しで、来春には国土交通相に最終答申を行い、整備計画が決定される見込みだ。

 阿部守一知事は14日の会見で情報収集に努める姿勢を強調。支持ルートなどには言及しなかった。

 村井仁前知事は6月の意見聴取で、Bルート支持から転換して特定のルートを求めず、選定を審議会側に委ねる意向を示した。これについて阿部知事は「結論的にほぼ同じになる可能性もある」としたが、「考え方を整理している段階」と述べるにとどまった。

 

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