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文化

出入国管理テーマの映画制作 尼崎の在日朝鮮人男性 

 神戸市出身の在日中国人2世の女性を主人公に、日本の出入国管理をテーマにしたドキュメンタリー映画を、尼崎市の在日朝鮮人2世の金成日(キムソンイル)さん(59)が制作した。神戸市灘区山田町の神戸学生青年センターで15日、上映される。(金海隆至)

 タイトルは「1985年花であること」。主人公の徐翠珍(じょすいちん)さん(63)=大阪市西成区=のインタビューを通し、両親が1930年代に上海から移住し神戸で洋服店を開いた家族の歴史や、中華同文学校で民族教育を受けた生い立ちなどをたどる。

 徐さんと金さんを結ぶのは、86年に外国人登録法で義務付けられた指紋押なつを拒否し、逮捕された同じ経験だ。2000年に全廃されたが、テロ対策として制度は07年に形を変えて復活。16歳以上の外国人を対象に、入国審査での指紋採取が、顔写真の提供とともに義務付けられた。

 2人とも日本生まれの永住外国人。朝鮮半島出身者の子孫の金さんは特別永住者で指紋採取が義務付けられてないが、親が中国出身の徐さんは一般永住者のため免れない。日本が戦前に旧満州で指紋を使って統治した経緯から、徐さんは「指紋と聞くと、日本の侵略を思い出す」と語る。

 映画には今年7月、徐さんが台湾から関西国際空港に戻り、入国審査ゲートを通るときのやりとりも音声に収めた。

 指紋の提供を「嫌といったら、どうするんですか?」と尋ねる徐さんに、「向こうに帰っていただくしか…」と答える担当職員。「帰るって、私の国ここですよ」

 金さんは「日本に生まれ、根を張って生きる外国人が、なぜ再入国時に指紋を採取されるのか。その不当性を浮き彫りにしたかった」と話す。

 上映会は午後7時から。入場料900円。TEL078・851・2760

 永住外国人 特別永住者と一般永住者に分けられる。「特別」は1945年9月以前から日本に住む朝鮮半島、台湾出身者とその子孫。「一般」は在留期間の長さや就労資格などを考慮して法務大臣が許可し、戦前から日本に暮らす在日中国人らが含まれる。

(2010/10/15 16:10)


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