茂(向井理)は富田(うじきつよし)の依頼で「墓場鬼太郎」の執筆に全力を注いでいた。布美枝(松下奈緒)はできあがったその本を宣伝するうち、自分が水木しげるの妻であることを美智子(松坂慶子)に知られることになったが、美智子やキヨ(佐々木すみ江)たちのおかげで、こみち書房や商店街で本を宣伝してもらえるようになる。
そのころ「少年戦記の会」の失敗以来姿をくらましていた浦木(杉浦太陽)がまた現れ、茂の家に上がりこんでくる。茂は激怒するが浦木の口から自分と知り合う前の茂のことが聞けて、嬉しくもある布美枝だった。
布美枝は時折、茂の漫画制作の手伝いをするようになっていた。『怖いものはおもしろい』という茂の話は、昔、祖母の登志(野際陽子)から聞いた話と通じるものがあって、布美枝はまた少し茂という人物に近づけた気がした。
布美枝 : べとべとさんに追われとった女の子、助けたこと、ありませんか?
茂 : ん?女の子?・・・そういえばそげなことが・・・・・・
秋になり、ついに茂の新作が刊行されるが、富田は会社の資金繰りが苦しく原稿料を払おうとしない。家計の苦労が続くある日、茂のかつての神戸在住時代の紙芝居の師である杉浦音松(上條恒彦)がふいに訪ねてくる。
布美枝は、茂と音松のかつてを懐かしむ話に耳を傾ける。茂がかつて神戸で紙芝居の絵を描いていたことや、『墓場鬼太郎』の原案が古い紙芝居にあったこと、水木しげるという名前をつけたのが音松だったことなど、布美枝には初めて聞くことばかりだった。
布美枝と茂は、音松を町に案内しては、なけなしの金でコーヒーやケーキなどをごちそうしていた。音松は何かを言いたそうだが、なかなか切り出すきっかけがつかめずにいた。そんな折、浦木が「音松は借金まみれで知人から金を借りようとして東京に姿を現したのだ」との情報を持ってくる。
茂は音松のためにいくらかでも用立ててやりたいと思うが、富田のやり口が腹に据えかね、執筆料ももらわずに縁を切ってしまう。収入源がなくなってしまった茂と布美枝。そして音松は、二人の前から姿を消す。
布美枝と茂は、姿を消した音松を探し回った。やっと見つけた音松は、長年使ってきた紙芝居道具を売って金に替えようとしながらも、なかなかそれができずにいた。茂は音松にわずかばかりの汽車賃を渡し、音松はそれを受け取って九州へと旅立っていく。
家計を引き締めるにはまず食費からだと思った布美枝は、食堂をやっていたと聞いたこみち書房に相談に行く。そこで茂のファンだという小林太一(鈴木裕樹)が失恋する現場に居合わせてしまう。
おなじころ、茂は三海社という出版社に売り込みをかけていた。そこで社長の深沢(村上弘明)から思わぬ歓迎を受ける。