第16週「来るべき時が来た」
7月12日(月)〜7月17日(土)/第91回〜第96回
布美枝(松下奈緒)と茂(向井理)のもとを、雄玄社の豊川(眞島秀和)がふたたび訪れる。豊川は、ジャンルは問わないのでテレビよりも面白い漫画を「別冊 少年ランド」に描いてほしいと茂に依頼する。戌井(梶原善)は茂に対し「別冊 少年ランド」への依頼は登竜門であり、そこをクリアできれば「週刊少年ランド」への執筆の道がひらけると語り、多くの子供たちの心をつかんでほしいと激励する。
豊川から依頼された漫画のアイディアを練っていた茂は、布美枝から金を受け取ると、亀田(徳井優)の質屋に飛び込み、質流れのテレビを買う。一日中テレビの前に座り込んで画面に流れる番組を茂は見続け、テレビの中に自由に入り込んでは欲しいものを何でも持ち出すこと のできる少年を主人公にした「テレビくん」の着想を得る。豊川も「テレビくん」に乗り気になるが、茂はなぜか考え込んでしまう。
茂は豊川に対し、「テレビくん」には何かが足りないと言う。子供に受けるための何が足りないのか、考えた果てに茂は「テレビくん」にかわいらしさが不足していることに気づく。布美枝は茂の助けになろうとして、テレビに関する雑誌の切り抜き記事を集める。苦心の末にと うとう「テレビくん」が完成。豊川は作品の出来ばえを絶賛する。完成した「テレビくん」に満足した豊川は、つづけて茂に「週刊少年ランド」への短編の連作を依頼する。奇想天外な戦いのある作品 を、との豊川の注文に対し、茂は「墓場鬼太郎」を描きたいと告げ、豊川もそれに賛同する。
深沢(村上弘明)は茂のメジャー誌への進出を喜ぶが、秘書の郁子(桜田聖子)は自分たちが育てた漫画家が、ただ大手にさらわれていくばかりに思えてしかたがなかった。布美枝は雄玄社からの原稿料の振込額の大きさに、ただただ驚くばかり。そして、村井家もついに電話を引くことになり、早速豊川から正式に「墓場鬼太郎」の執筆を依頼する電話が入る。茂は「週刊少年ランド」に「墓場の鬼太郎」を描き始めるが、読者からの人気投票は最下位で、編集部内では打ち切りの議論も出る始末。
浦木が、雄玄社で聞きかじってきた「鬼太郎」の不人気を伝えに、村井家にやってくる。しかし戌井(梶原善)が口にした『鬼太郎の奇跡のような生命力』を信じ、茂は黙々と「鬼太郎」を描き続けるのだった。そして豊川も、これまでの常識にとらわれない漫画こそが他誌に勝つために必要であることを力説して譲らなかった。そうするうちに、「少年ランド」の編集部に「墓場の鬼太郎」を支持する投書が少しずつ届くようになり、豊川は「鬼太郎」の本格的な連載の開始を決意する。そしてその年の11月、茂のもとに、「テレビくん」が雄玄社マンガ賞を受賞した知らせが来る。
吉報は境港の絹代(竹下景子)と修平(風間杜夫)にも、そして安来の源兵衛(大杉漣)ら飯田家の人びとのもとにも届く。戌井もまた、苦難を重ねてきた茂の受賞に感動を禁じえなかった。村井家に取り憑(つ)いていた貧乏神も、ついに村井家を出て行く。授賞式の当日、背広を新調した茂は布美枝にネクタイを締めてもらい、授賞式へと向かう。授賞式の会場には深沢や戌井も駆けつけて、豊川とともに茂の受賞の喜びを分かち合うのだった。授賞式の後、帰宅した茂は布美枝の手料理をほおばり、すぐにまた机に向かい漫画を描き始める。その後姿に布美枝は、今までの茂の懸命な努力を思い出しつつ、そっとつぶやく・・・
布美枝 : ・・・お父ちゃん、おめでとう
(布美枝の目から、ポロポロと涙がこぼれる。)