(cache) 連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」

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第21週「戦争と楽園」

8月16日(月)〜8月21日(土) /第121回〜第126回

昭和47年7月。その前月にかつての戦友とともに戦時中に送られていたラバウルを訪れて以来、茂(向井理)は南の島に心を奪われていた。日本からの移住を言い出す茂に布美枝(松下奈緒)はあきれ顔。小学四年生になった長女の藍子(菊池和澄)は有名な漫画家の娘であることから学校でからかわれていた。そんなとき、いままであまり親しくなかったクラスメートの留美子が自分をかばってくれる。

絹代(竹下景子)は近所の住人から老人クラブへの入会を勧められるが、それをきっぱりと拒否する。かつて南洋の島で事業を営んだことのある修平(風間杜夫)は茂の南方へのあこがれに理解を示すが、絹代から茂に移住をすすめたりしないようにと強くたしなめられる始末。次女・喜子(松本春姫)は父である茂が片腕であることを不思議がるようになり、布美枝は娘に戦争のことを教えるかどうかを迷う。藍子を助けてくれた留美子は、実はあるたくらみがあって藍子を助けたのだった。留美子はテレビアニメの「ゲゲゲの鬼太郎」に自分をモデルにした女の子を出してほしいと頼んできたのだ。藍子は母の布美枝に相談をもちかけてみるが、とても茂に相談できることではないと言われてしまう。そんなとき、茂のもとに「敗走記」の単行本化の依頼が舞い込む。

出版社から過去の自作「敗走記」への加筆と単行本化を依頼された茂は、そこに描かれた自分の戦争体験を布美枝に語って聞かせる。修平と絹代も「敗走記」のページをめくりながら回想していた。南方で死の淵にさらされていた茂を、遠く日本の境港で感じ取った絹代と修平は、夜通し茂の名前を呼び続けていた。茂にはその声が届いたように感じていた。布美枝は絹代たちの声が茂を救ったのだと思わずにはいられなかった。その後もさまざまな危機を乗り越え、元の部隊に戻った茂はさらに恐ろしい目にあったという。なんと、部隊の上官から敵前逃亡罪に問われてしまったのだ。あまりにむごい話に布美枝の目から涙がこぼれた。藍子はクラスメートの留美子からの頼まれごとをどうすることもできず、気がふさいだままでいた。

茂のもとを、戦時中ラバウルで同じ隊に配属されていた三井(辻萬長)と笹岡(井之上隆志)が訪ねてくる。布美枝は茂たちの交わす会話から、戦争中に南の島で彼らが体験したさまざまな出来事を初めて知る。町をとぼとぼ歩いている藍子を絹代が見かける。藍子は何か悩んでいる様子だった。布美枝は茂たちから戦争中のラバウルで起こったズンゲン支隊の『幻の総員玉砕』の話を聞く。

茂たちのいた部隊は全員が玉砕したものとされていた。しかし実態はゲリラ戦に転じたもの、突撃はしたものの無事に生き残ったものなど、生存者は合わせると百名以上いたのだった。しかし総員玉砕と発表された以上、生きていてはいけない兵士たちだった。

茂:自分は近ごろどうしたわけか、よく夢を見るんですよ
笹原:死んだ仲間たちのかね?
茂:はい
三井:オレもだ
笹原:(自分もだとうなずく)
茂:映画で見るようにはっきりと、夢に見るんです。最後には必ず死んでった仲間たちの顔が浮かんできて・・・
布美枝:・・・
茂:みんなが言うんです。・・・村井、おれたちのことを、描いてくれ・・・
三井:・・・
笹原:(目頭を押さえつつ)・・・

藍子はクラスメートの留美子との関係で悩んでいることを祖母の絹代に打ち明け、力強い励ましの言葉をもらう。布美枝はようやく藍子が何に悩んでいたのかを知ることになる。そんな藍子に、布美枝も自分が子供のころ『電信柱』と揶揄(やゆ)されていたことを話して聞かせる。そして茂から『弱いところは誰にでもあるが、前に進む気持ちが大事なんだ』と聞かされたとも話すのだった。そんな茂のたくましさは、絹代譲りだと納得しあう布美枝と藍子だった。

藍子は学校で留美子に対する態度をはっきりさせることができ、ようやく笑顔を取り戻すことができた。久しぶりに布美枝と茂のもとを深沢(村上弘明)が訪ねてくる。「ゼタ」の売れ行きが振るわず、そろそろ会社の経営も限界かと思い始めていた深沢だったが、自身が体験した戦争にしっかり向きあって描いていこうとする茂の決意にふれた彼はゼタを創刊した意義を再度見つめなおし、もう少しあがいてみようと決心する。「総員玉砕せよ!」を執筆しはじめる茂。その夜、中庭で花火にふける親子4人であった。