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NATO新戦略概念:ミサイル防衛の整備着手で大筋合意

 【ブリュッセル福島良典】北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)は14日、ブリュッセルで外相・国防相合同会議を開き、今後の指針となる新戦略概念の柱として、NATO版ミサイル防衛(MD)の整備に着手する方針で大筋合意した。新戦略概念は国際テロ、ミサイル・核兵器の拡散などの「新たな脅威」に対応するための処方せんとなる。草案を起草したラスムセン事務総長はイランなどのミサイル・核開発を念頭に、欧米のMDを連結してNATO全域をカバーするシステムに統合し、ロシアと連携するMD拡大構想の実現を目指している。

 新戦略概念は11月19、20日にリスボンで開かれる首脳会議で採択される。ラスムセン事務総長は14日、NATOの主任務が欧米の集団防衛である点を強調し「ミサイル攻撃から全欧州を守るMDをNATOの戦力と位置付けるべきだ。首脳会議でMD整備を正式決定することに反対意見はなかった」と述べた。

 NATO域内には現在、米国の各種MDと、欧州の軍部隊を守る戦域MDが併存している。ラスムセン構想は両者を連結し、「加盟28カ国の市民9億人を守るMD」とすることだ。事務総長は同時にロシアのMDと連携する仕組みを作り、アフガニスタン安定化で協力が欠かせないロシアとの関係改善のテコにしたい考えだが、ポーランドはロシアの参加に反対している。

 「ミサイル防衛と核戦力は『盾』と『矛』の関係」(欧州外交筋)のため、米国に頼らない独自核を保有するフランスには「自国の手が縛られかねないとの懸念がある」(同筋)とされる。一方、NATOの枠組みで配備されている米軍戦術核兵器の早期撤去を求めるドイツはMD整備をNATOの核軍縮にむすびつけようとしているが、米国は「NATO核政策は全加盟国の総意で決められなければならない」(クリントン米国務長官)とけん制している。

 新戦略概念では米独の主張を両論併記する形で、戦術核を「最小限の水準で維持する」方針が踏襲され、核抑止力の保持がうたわれる。一方、「核兵器のない世界」を目指す軍縮努力が明記される見通し。外交筋によると、NATO内に「軍備管理・軍縮委員会」を新設し、「NATOとして必要な戦力」の見直しに着手するアイデアが検討されている。

毎日新聞 2010年10月14日 20時25分(最終更新 10月15日 0時59分)

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